次世代に継ぐ誇り ヘル・サントソ衛藤さんに聞く 残留日本兵2世
太平洋戦争後もインドネシアに残り、独立戦争に加わった約1千人の残留日本兵たち。彼らは建国に沸くこの国を支え、日本企業の進出を助け、日イ両国の心を結ぶ架け橋となってきた。その軌跡を集約する「インドネシア日本残留兵歴史ギャラリー」に込める思いを、福祉友の会会長で残留日本兵2世のヘル・サントソ衛藤さん(61)に聞いた。
――歴史ギャラリー創設の目的は?
「まず残留兵1世の功績をその子弟たちに残し、知ってもらいたい。最後の元残留日本兵、小野盛さんが2014年に亡くなったが、決して風化させてはならず、次世代にバトンを渡したい。また、福祉友の会が保存する手記や写真のデジタル化は、両国民の資産として役立つのではないか」
――次世代に継ぎたい、と。
「そう、アイデンティティーの源として、1世の思いを次世代に受け継いでほしい。今、3世、4世たちがすべて恵まれた境遇にあるとはいえない。しかし、知的財産、つまり技能や知識を身につけ、この国に命をかけて貢献した1世の子弟として、誇りを持って生きてほしい。日本との関わりを彼らの強みとするためにも、歴史ギャラリーはその接点になるはずだ」
――1世の足跡を多くの日本人が知る機会にもなる。
「歴史ギャラリーは、世代を超えた交流の場としたい。ここに暮らす日本の皆さん、そして日本から来る訪問団にも訪れてもらい、残留兵の歴史に触れてほしい。そして呼びかけたい。ジャカルタとバリには英雄墓地があるが、残留兵は各地に眠っており、一緒に手を合わせませんか、と。それも一世の思いに応え、私たち二世が次世代にできる大切な事だと思うから」(長谷川周人、写真も)