線引き

 イスラム色が強い国でも、信仰の度合いや、どこからどこまで教義に従うかは人による。
 10年以上前のラマダン(断食月)のジャカルタで、あと5分で日の入り、つまり飲食ができる直前というときに、我慢できずにタバコを吸い始めたムスリムの男性がいた。「吸い終わったら5分、断食を延長するからいいんだ」と笑った顔を見て、初めてすべてのムスリムが100%教えを守るわけではないと知った。
 先日、ムスリムの友人とご飯を食べたとき、別の友人がふざけてビールを彼の前に置き、スマホで写真を撮った。彼は笑いながらも「絶対SNSにはあげないで!」と何度も言った。
 ところが数日経って、通話アプリの彼のプロフィール写真が、そのときの写真に替わっていたので驚いた。よく見ると、ビールのラベルにモザイクがかけられていた=写真。
 教義と写りの良い自分の写真を天秤にかけ、この結論に至ったのだろう。正直なところ「それはOKなの!?」と思ったが、本人だけが持つ線引きがここにあるわけだ。
 同じムスリムでも深く関わってみると、どこで宗教と日々の生活に折り合いをつけているのかは、本当に人それぞれだ。時にそれが、その人の個性や魅力のように感じる時もある。(じゃかるた新聞=三好由華)
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