安置室に見る命の重み
一瞬にして多くの人命を奪う航空機事故では、その墜落現場は痛ましく、遺族はやり場のない思いに苦しむ。1月9日に墜落したスリウィジャヤ航空SJ182便も例外ではなかった。
墜落現場で回収された遺体の一部は順次、東ジャカルタのハリム空港に近い警察病院に運ばれた。駆けつけた遺族たちが立ち入りを許されるのは、院内に安置された部屋の入り口まで。そこから、遺体が入った袋をただ見つめるしかなかった。
「よりによって、なぜここに…」
病院に詰めかける遺族の様子を24時間体制で取材していた地元メディアの男性記者が、切り出した。遺体は損傷が激しく、身元確認には時間がかかる。対面ができないのも仕方がない。ただ、なぜ新型コロナウイルスで感染死した人たちの安置室の隣に収容されたのか。
「間違いであってほしい。悪夢であってほしい。そんな遺族の気持ちを逆なでしないか……」
捜査当局の対応に口をはさむ立場ではないが、人の命の重み、尊厳に対する価値観を遺体の扱いから感じ取ることはある。男性記者の遺族に向けた思いやりに救われた気がした。(じゃかるた新聞=長谷川周人)
× ×
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、本欄では同窓会や同好会、同郷会の皆さまからのイベント開催報告募集を停止しております。
これに代わり、暮らしの中で見つけた新たな発見や、インドネシア生活で感じたこと、思い出などについてのご寄稿を募集させていただきます。
原稿は写真1枚付き。掲載時は12文字詰で20~60行程度になるよう、編集させていただきます。
投稿は担当者(メールjalanjalan@jkshimbun.com)まで。ご応募お待ちしています。