オムニバス法解説セミナー 労務規定に関する変更 ジェトロ、JJC
ジェトロ・ジャカルタ事務所とジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)は26日、オンラインで「オムニバス法解説セミナー」を開催した。講師はインテリジェンスHRソリューションズインドネシア(PERSOL)の人事労務コンサルタント、森智和氏。解説は労務規制の変更に焦点をあてた。
森氏によると、これまで企業が運営にあたり則してきた、労働に関する法(2003年13号)は労働者に有利な傾向がある。これに対し2日に成立した雇用創出法(20年11号)は、「企業家にとって有利とみられているが、未決定の細則が多く、労働省による説明もまだない」という。
森氏によると、これまで就業規則や労働協約を持たない企業は、「雇用創出法を適用した規則を自ら策定できる可能性がある」。しかし、すでにある場合は、変更に際し労働組合から書面での合意を得る必要があるため、ここが新たな就業規則の「運用のハードル」だという。
最低賃金は、州、県と市、業種別と分かれるが、雇用創出法では業種別が削除される可能性があり、県や市の最低賃金を適用することになる。
現実に起こりうる問題として、業種別最低賃金を設定する権限が政府から企業に移った場合や、計算方法が前年度の経済成長率と物価上昇率の合算ではなく、企業が有利な方を選択できるとした場合、労働者の賃金が下がる可能性がある。森氏は既存の従業員を守るよう心がけ、労働者が納得できるよう「雇用維持のため」として対話継続や妥協案の提示が必要という。
森氏はまた、雇用創出法の細則が未定であるため、「まだ企業内で新たな決定はすべきでない」と注意を促した。(三好由華)