動画配信に10%課税開始 政府
インドネシア政府は8月1日から、米系ネットフリックスやアマゾン・ウェブ・サービスなどの動画配信サービスやオンラインゲームといったデジタルサービス・商品に対して、10%の付加価値税(VAT)の課税を始めた。8月以降、利用料金にプラスされる形で消費者からの徴収が進むもよう。地元メディアが報じた。
デジタル課税は7月に発令された、財務大臣令(2020年第48号)に基づく措置。オンラインのコンテンツやサービスを販売し、年間6億ルピア相当以上の売り上げを稼ぐか、1万2千人以上のユーザーを抱える外資系企業が対象となるという。当面は、ネットフリックス傘下のネットフリックス・インターナショナルや米グーグル関連の3社、アマゾン・ウェブ・サービス、スウェーデンの音楽配信サービス大手のスポティファイなど計6社が対象となる。
地元メディアによると、インドネシア国内でネットフリックスの視聴契約をした場合、課税分が料金に上乗せされるようになる。視聴に伴う利用料金が4万9千ルピアのプランなら、5万4千ルピアに上がるという。
政府は課税により10兆ルピア以上の税収を確保できるとみている。新型コロナウイルス感染拡大により税収全体が減り、感染症対策予算が必要になっている中で、課税分は充当する。
国内ではスマートフォンの普及が進み、大規模社会的制限(PSBB)の影響もあって、動画視聴サービスのユーザーが増加しているという。スリ・ムルヤニ財務相は2016年の就任以来、オンライン広告などのデジタル事業で多額の収益を上げる、「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)」と呼ばれる大手を筆頭にした多国籍企業への課税を強化する方針を示してきた。これまで、グーグルに対して納税報告書の提出を求め、議論を続けたこともある。
財務省関係者によると、今回の課税は20カ国・地域(G20)参加国などの間で話し合われてきた、多国籍IT企業への課税や節税防止の仕組み構築の一環だという。
多くの多国籍IT企業が本拠地を置く米国は反対しているが、マレーシアなどでも同様の税金を課しており、フィリピンでも導入を前向きに検討しているとして、決断したという。