カーフリーデー再中止 ジャカルタ 感染拡大の恐れ、市民分散へ
ジャカルタ特別州政府は24日、新型コロナウイルス対策の緩和を受け、21日に再開した中央ジャカルタのタムリン~スディルマン通りの歩行者天国「カーフリーデー」を、再び中止すると発表した。多くの市民で混み合い、感染状況の悪化を引き起こす懸念があるため。28日からは州内の複数の通りで実施し、人を分散させる案を検討している。
カーフリーデーは目抜き通りで毎週日曜日に行われていた州のイベント。歩行者や自転車に乗る人々などでにぎわっていた。新型コロナの感染拡大を受けて3月に中止され、6月21日に再開したばかりだった。
州政府運輸局の職員によると、21日には約4万人の市民が参加したとみられる。本紙の取材に「想定を超えて人が集まった。マスク不着用や子ども、高齢者の参加などプロトコル違反が見られたが、管理しきれなかった」と話した。
21日の同通りでは約600件の迅速検査が行われ、5人の感染が疑われたが、その後いずれも陰性が確認されているという。
市民の集中で「感染対策を敷いた上での再開」が難しく、ガンビル(中央ジャカルタ)やメンテン(同)などで同時にカーフリーデーを行い、参加者を分散させたい考えだ。「市民の不満が募る」として、カーフリーデー自体の中止は行わない方針という。
ただ州内の感染者増加ペースの勢いは止まらず、緩和が疑問視される状況がある。伝統市場取引業者協会(IKAPPI)によると、15日に再開された州内の伝統市場では、23日までに20カ所で業者計152人の感染が疑われ、一時閉鎖された。
店舗の営業日の限定などで、人の密集をつくらない形での再開を目指すが、制限が守られない状況が続き、市場での感染者が今後も増加する懸念がある。
州政府保健局の職員は「感染が収束するまで緩和を待つべきだという意見は分かる。ただ制限を続けたり再び強めても、皆従わず意味がないだろう。治安部隊による強い強制は反発と混乱を招く。緩和しながら感染を少しずつ押さえ込んでいくしかない」と話した。収束に向けた長期戦は避けられそうにない。(大野航太郎)