「イノベーションに活路」 新時代の日イ協力関係提唱 元留学生多数のITB 著名学者ら招きセミナー
バンドン工科大(ITB)イノベーション・起業振興センター(LPIK)は九日、中央ジャカルタの科学技術応用評価庁(BPPT)で、「第二の転換期―インドネシア日本相互協力セミナー」を開催した。一九五八年の国交樹立以来、両国は緊密な協力関係を築いてきたが、日本が以前のようなアジアで唯一の経済大国ではなくなり、インドネシアが著しい発展を見せるなど取り巻く環境が変わる中で、元日本留学生が講師陣の約二五%を占めるというITBは、技術や考え方を創造する「イノベーション」をキーワードに、新たに双方に利益のある協力関係を強化していくべきと提唱した。
セミナーは、十一月末から十二月初めにかけてITBが行う「インドネシア日本イノベーション・コンベンション二〇一二」のプレイベントとして行われた。在インドネシア日本大使館や元日本留学生協会(プルサダ)のほか、元日本留学生のマルザン・イスカンダル氏が長官を務めるBPPTや同じく元留学生のズハル氏が委員長を務める国家イノベーション委員会(KIN)などが共催。
鹿取克章・駐インドネシア日本大使、インドネシア日本友好協会(PPIJ)のギナンジャール・カルタサスミタ理事長(大統領顧問会議委員)、インドネシア研究の権威の白石隆・政策研究大学院大学学長、プルサダのラフマット・ゴーベル会長ら、日イの政治家や研究者が講演。両国の機関や日系企業関係者らが訪れた。
ITB・LPIKのスホノ・ハルソ・スパンガットセンター長は、これまで製造拠点を築いてきた日本企業について、「今後は生産だけでなく、インドネシア市場のニーズをつかむため、ここで研究・開発も行っていくべき。日本の技術力とインドネシアの市場の大きさは相互補完関係にある」とイノベーションをテーマに取り上げた意義を説明。
ギナンジャール氏は「未加工の鉱物資源に経済成長を頼ってはいけない」と述べ、インドネシアは日本と高度な人材と技術の協力を進め、イノベーションに活路を求めるべきと力説。鹿取克章・駐インドネシア日本大使は日本からインドネシアへの投資が急拡大しており、「今が重要なとき」と述べ、これまでの緊密な協力関係に満足せず、今後もさまざまな分野で協力を深めたいと強調した。