対策に動く日系企業 在宅勤務奨励 テレワーク、導入進まず
新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めようとジャカルタ特別州は16日から、大量高速鉄道(MRT)や首都圏専用バス・トランスジャカルタなどの利用制限を始めた。インドネシア労働省は16日、企業の在宅勤務を奨励する方針を発表、国営銀行や各省庁で導入の動きが見られる。日系企業は対応に動き出したが、担当者からはテレワーク導入の難しさを指摘する声が上がっている。
MRTを運営するジャカルタ特別州営「MRTジャカルタ(MRTJ)」では、営業時間短縮のほか、1車両あたりの乗客数を60人に制限。同社担当者は「通勤ラッシュ時の乗車人数が減少した」と成果を強調するが、ルバックブルス駅、チプテラヤ駅などでは朝のラッシュ時に電車に乗りきれない乗客が駅の外まであふれ出す混乱も発生。中央ジャカルタ区のスディルマン通りにオフィスを構える日系企業では、一部の従業員が電車に乗り遅れ、定時出社ができなかったという。
同区にある別の日系企業では、従業員の通勤に支障が出ないよう、出社時間を遅らせ退勤時間を早める、業務時間の短縮を実施。また、社員同士の濃厚接触を避けるため、約500人いる社員を2チームに分けて隔日出勤にするなどの対策も検討中という。
ある日系コンサルティング会社では16日、一部部署のパソコンにオンライン会議アプリの「ズーム」を導入。外部との接触を制限する顧客との会合などに対応するのが主な目的という。在宅勤務での使用も視野に入れるが、「機密性の高い顧客データの取り扱いや業務の進ちょく確認をどうするかなど、課題が多い」と担当者は頭を抱える。
その他の日系企業担当者からは「テレワークは検討はしているが、紙の書類を使った社内処理が多く、対応が難しい」(金融業)、「専用の社内システムを使用しており、自宅では仕事にならない」(製造業)といった声が聞かれた。(高地伸幸)