日本舞踊の指導者 続々誕生 舞踊家の蓮田愛さん育成 アチェで初の講習も
インドネシアの若者に正しい日本舞踊を伝えようと、二〇〇八年から各地の高校や大学で講習会などを開催してきた日本舞踊家の蓮田愛さん(三〇)は、指導者育成に力を入れ、各地で指導者のテストを行っている。舞踊学校設立や日本留学なども視野に入れ、本格的に習得しようとする生徒の指導に当たっている。
蓮田さんは二、三日にジャカルタ国立大、インドネシア大で講習会を開き、四日には、西ジャカルタのビナヌサンタラ大(ビヌス大)で二―四年生の希望者九人に指導者テストを行った。試験はすべて日本語。
生徒の希望を取り入れ、課題曲には日本のポップスを取り上げ、蓮田さんが曲ごとに振り付けを考案。普段、日本在住の蓮田さんはインターネット通信のスカイプなどを通じ、生徒を指導してきた。指導者として蓮田さんが認定したのは、すでに四十人になった。
講習会には、蓮田さんがインドネシアで最初に講習を始めた西スマトラ州パダンのブンハッタ大の四年生で、現在は指導者として活動しているダニーさんも訪れ、学生たちに日本舞踊を披露。蓮田さんが「男性だけど、女性の踊りがとてもうまい」と太鼓判を押すダニーさんの動きに、学生たちは釘付けになった。
蓮田さんはまた、日本舞踊に初挑戦する一年生六人に、お辞儀や立ち方の作法を教えた。
蓮田さんは日本舞踊の古典舞踊・天羽流、新舞踊の桐流などで学び、現在大阪、神戸、京都などに教室を持つ日本舞踊家。日本各地で公演を行うほか、今年三月には、在瀋陽日本国総領事館大連出張駐在官事務所主催の「日本フェスタ」に参加し、大連で日本舞踊を披露するなど、国際公演も行った。
インドネシアでは二〇〇八年、母校の園田学園女子大学(兵庫県尼崎市)の提携校であるブンハッタ大で日本舞踊の講習を開始。以降、定期的に来イし、ジャカルタ、メダン、バンドン、ジョクジャカルタなどを回り、これまでに三百人以上に日本舞踊を指導。指導者育成にも励んできた。
今回は五都市を回った後、十六日以降、アチェで初めて講習会を行う。州都バンダアチェで、学生への講習や各地の日本文化祭、地元テレビへの出演などを通じて日本舞踊を紹介する予定。
蓮田さんは「より多くの人に日本舞踊を知ってもらいたい。パダンで日本舞踊学校の設立を考えているほか、日本で本格的に学びたいという生徒の舞踊留学もサポートしていきたい」と語った。