「ジャカルタご当地スープを」 牛乳使ってさっぱり ソト・ブタウィ専門店、日本進出へ
ココナッツミルクを使った牛肉スープのソト・ブタウィは、ジャカルタの郷土料理。来月、東京に、ソト・ブタウィ専門店「ソトベタウィ宮本」がオープンする予定だ。場所は、オフィス街かつ飲食店の激戦区としても知られる神田の予定。既存のインドネシア料理店とは違い、ソト・ブタウィに絞った店で勝負する。
「ソト・ブタウィ日本進出計画」を進めるのは、2019年8月に設立した飲食業コダ・フード。創業者5人全員がジャカルタ出身だ。
数あるインドネシア料理の中からソト・ブタウィを選んだのは、創業者の郷土料理という理由だけではない。
「インドネシアでは広くソト(スープ)が食べられているが、それぞれの地域によって作り方や材料は違う。まるで日本のご当地ラーメンのようで、きっと日本人に合うと確信した」とイファンさん(29)は語る。
材料全てが日本国内で手に入るというのも理由の一つだ。ソト・ブタウィは、ジャガ芋やトマトに牛肉と、普段から日本の食卓でもおなじみの食材が中心だ。赤小玉ネギ、シナモンといった香辛料も日本で入手可能だ。また、ココナッツミルクの代わりに牛乳を使う予定だ。
提携店を決めるに当たって、さまざまなソト・ブタウィ店で5人が食べ比べをした。そして選ばれたのは、タンゲランに3店舗がある「ソト&ソプ・ブタウィ・バン・ロジャック」。
決め手は、ココナッツミルクではなく牛乳を使っていたこと。「さっぱりした後味が、日本人の口にも合うと思った」とイファンさん。
元々は、インドネシア人に人気の旅行先である日本で「ハラルの食べ物を見つけるのが難しい」との声を聞いて始まったプロジェクト。しかし、ターゲットはインドネシア人のムスリムだけではない。
「エスニック料理店という枠組みを超えて、日本で親しまれる店にしたい」とホーリさん(40)は語る。
辛い物を食べ慣れていない日本人のために、トウガラシは別皿で提供するなどの工夫をするそうだ。
ホーリさんは06年、立命館アジア太平洋大学のマネジメント学部を卒業し、日本語も堪能だ。不動産会社との交渉や法務などを担当する。
「営業許可を得るのにもさまざまな条件があり、インドネシアとは全く異なるため、難しい」とホーリさん。現在、開店の最終準備中だ。
コダ・フードは今後2年以内に日本で10店舗開くことを目標に掲げている。ソト・ブタウィが成功したら、ナシゴレンやマルタバックなどの専門店の日本進出も考えているという。(加藤ひな子、写真も)