学校・日系企業も再開 ジャカルタ首都圏 洪水一段落

 インドネシア国家防災庁(BNPB)によると、年明けのジャカルタ首都圏の洪水による死者は、6日午後1時時点で67人に達した。なお3万6419人が避難生活を強いられている。一方で、年末年始の休みを終え、多くの日系企業や学校が活動を再開。街は概ね日常を取り戻しつつある。  

 中央ジャカルタのスディルマン通り沿いにオフィスがあるコンサルタント会社、OSセルナジャヤは2日から営業を開始。2日は約120人の社員のうち約20人が洪水のため欠勤したが、6日にはほぼ全員が出社した。
 西ジャワ州ブカシ県MM2100工業団地に工場を構える、ある日系メーカーは、2日の仕事始めに全社員の約70%が欠勤。客先への納品遅延などが起きたが、翌日から工場はほぼフル稼働した。社長は「影響は最小限にとどまった。もし豪雨が続いていたら、大変なことになっていたかもしれない」と話した。
 南ジャカルタ・タナアバンの第38職業訓練高校(SMK)は、洪水で校舎一階の床上約60センチが浸水したが、予定通り6日から授業を再開した。479人の生徒と教職員は全員が登校。校長のリナさん(44)は「被災した子もいるが、全員がそろうことができて良かった」と語った。
 6日午前11時ごろ、同校では一部の授業を延期し、生徒と教職員が総出で校舎の清掃を行っていた。水は引いたが、校庭に水たまりが残っていたり、植え込みの観葉植物の葉に薄っすら泥がたまっているなど、洪水の跡が見られた。学生らはホースで水遊びをしながら、教室の泥を流したり、泥まみれになった家庭科室の食器を洗ったりしていた。
 同校近くのカンプン(集落)では、カキリマ(移動式屋台)やワルン(屋台)が営業を再開、近隣のオフィスで働く会社員でにぎわった。ワルコップ(コーヒー屋台)店主の男性は「ここいらじゃ5年に1度くらい洪水が起きるが、こんな大きいのは久々だ」と言う。店内の壁には、記者の目の高さ(=約1・6メートル)に、長さ約60センチの線状に、黒い洪水の跡がついていた。
 同カンプンでバイクの修理工をしているオトンさん(50)のもとには、水没した原付バイク22台が寄せられた。ギアカバーを開けて内部に入った水をふき取り、バッテリーを新品に交換。エンジンをかけると、たまっていた水がマフラーから勢いよく噴き出す。「ほとんどのバイクはこうすれば直る。やっぱり日本製は頑丈」と笑顔を見せた。
 中央ジャカルタ区タナアバンのマスマンシュール通りでは、約10メートルにわたり、洪水で流されたゴミが集められていた。プラスチックの袋や木の枝、トタン屋根の破片が、一部では約2メートルの高さまで重なる。腐ったような異臭を放っていた。(高地伸幸、写真も)

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