伝統武術、無形遺産に プンチャック・シラット ユネスコ、国内10例目
教育科学文化機関(ユネスコ)は12日、コロンビアで開いた政府間委員会で、インドネシアの伝統武術「プンチャック・シラット」を無形文化遺産に登録することを決めた。2017年の「ピニシ船(スラウェシ島南部のブギス人の伝統木造帆船)の造船工法」以来、10例目となった。日本など海外でも広まりを期待する声がある。
プンチャック・シラットはインドネシアやマレーシアなどで継承されてきた伝統武術で、膨大な種類・流派がある。17年から無形文化遺産への申請を始めていた。素手や素足による打撃や、短剣や棒を使用する形もある。18年のアジア大会で初めて正式種目として認められ、演武などで競われた。
国内では軍や警察の訓練に取り入れられてきたという。また、15年に公開された「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(J・J・エイブラムス監督)にプンチャック・シラットができるインドネシア人の俳優3人が起用されるなど、近年芸能分野での注目も高まってきた。
日本国内にも同競技を学ぶ人の集まり「日本プンチャック・シラット協会」があり、会員数は約100人。早田恭子会長は無形文化遺産登録により日本でも認知が広がることを期待する。「『こんなもんか』って思われないように、胸を張って活動を続けていきたい」と意気込んだ。
アジア大会で演武部門に出場した麻生大輔さん(25)は「日本ではまだ国際大会に出る人は限られている。(登録が)より多くの人に競技を知ってもらえるきっかけになれば」と話した。
無形文化遺産については、インドネシアではこれまでにワヤン・クリット(影絵芝居)やクリス(儀礼的短剣)、バティック(ろうけつ染め)など9件が登録されていた。(大野航太郎、加藤ひな子)