景気低調続き 5.02% 通年目標達成は困難 第3四半期成長率
中央統計局(BPS)は5日、ことし第3四半期の国内総生産(GDP)の伸び率が前年同期比5・02%だったと発表した。世界的な景気減速の影響を受けて、輸出減少と国内消費の低調が続いている。通年目標5・3%達成は現実的ではなく、景気対策や金融緩和を進めていく方向性だ。
四半期ベースだと、2017年第2四半期に5・01%の伸び率を記録して以来の低水準となる。
中国経済減速などの影響を受けて資源価格が低調な状態が続いている。大統領選後に期待された購買意欲増進も、まだ途上であることが改めて露呈した。
政府は公的支出も伴うインフラ投資などを進めていく構えを見せているが、現状への打開策は乏しい。
中央銀行は7月以来、4カ月連続で利下げを行ってきた。今後も必要に応じて金融緩和を進める。
政府は今後5年間で輸出を、毎年二桁成長させることを目標に掲げている。現状の主要な輸出産品には石油や天然ガス、石炭、パーム油関連が並ぶ。ベトナムでスマートフォンなどの携帯電話機関連の産業が輸出全体の約2割を占めるまでに成長した点と比較すると、旧態依然としている。
貿易摩擦への懸念から、中国からの工場移転が進み、サプライチェーン(供給網)の転換が加速すると見て、対応することを企図する。法人所得税一時減免(タックスホリデー)などの優遇策を用意して投資を歓迎する姿勢を見せているが、世界銀行が毎年発表する世界190カ国・地域を対象にした「ビジネス環境」についての調査結果では、インドネシアは昨年と変わらず73位にとどまった。
外資企業の出資比率を定めた投資ネガティブリストを改正する動きもあるが、遅れている。
インドネシア経済はGDPの5割以上を国内個人消費に支えられており、他の東南アジア新興国と比較しても外圧に強いとされてきた。その中で輸出への依存度を高めることは、米中貿易戦争のような外的要因からの影響が強くなる面もあり、「嵐の中で雨戸を開けた」状況になるリスクが伴う。それゆえに政府・実業界からの抵抗も強い。(平野慧)