ジャカルタで560万人 電子住民登録証 内務省 宗教欄記載は任意制へ
国民の個人情報を統括管理し、犯罪や事故時の身元確認、福祉厚生の向上などに役立てようと、政府は電子住民登録証(E―KTP)プログラムを進めている。年内に人口二億三千八百万人のうち、十七歳以上の一億七千二百万人に配布する予定で、ジャカルタ特別州は四月末までに五百六十万人の住民登録を完了したと発表した。
ガマワン・ファウジ内相はこのほど、ジャカルタ特別州では目標の登録数五百六十万人を達成したと強調。今後、未登録者をはじめ、これまで違法に複数のKTPを所持していた地方出身者らに対応するために引き続き登録を継続していくと説明した。
ファウジ・ボウォ州知事は「州内の約九万人が、ジャカルタ以外の地域でKTPを取得している。電子KTP作成時に、どの地域で登録するか選択しなければならない」と述べ、オンラインで結ばれ、情報を各地で共有する電子KTPでは、重複は不可能になると強調した。
ジャカルタでは昨年八月から登録を開始。当初、機材の不具合や人材不足が原因となり、遅れが予想されていたが、隣組レベルでの周知活動を強化した結果、予定の四月末の登録完了に至ったという。しかし、電子KTPの印刷に時間がかかり、配布は遅れている。
電子KTPは個人情報を記録する電子チップを内蔵。氏名、出生地、生年月日、性別、血液型、住所、職業、署名、指紋など、既存のKTPと同様の項目のほか、網膜パターンなど生体認証に使用する情報も記録する。国民一人一人に登録番号を設け、パスポート、運転免許証、納税者番号、土地所有者登録などにも利用する。
■少数派に配慮
電子KTP発行に向け、これまで議論があった宗教欄について、内務省は、登録時の報告は義務付けるが、電子KTPでは空欄にすることもできると説明。政府公認の六つの宗教以外の宗教を信仰する少数派に配慮して、記載を任意制にする姿勢を示している。
政府公認の宗教は現在、イスラム、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー、仏教、儒教の六つ。内務省のイルマン人口管理総局長は「公認外の宗教を信仰する人は、空欄でもよい」と言明。地方の宗教紛争時には、襲撃者が住民にKTPを提示させ、異教徒を殺害する事件が多発したこともあり、身分証刷新を宗教差別を撤廃する機会にしようとの動きもある。
非政府団体の宗教・平和委員会(ICRP)の調査(二〇〇五年)によると、公認宗教以外で信仰されている国内の宗教は現在、約二百四十五。その信者は四十万人に達するとみられ、教育文化省が監督している。
バンテン州レバック県で伝統的な生活を守りながら暮らすバドゥイ人などは、アニミズムやヒンドゥー教が混こうした伝統信仰「スンダ・ウィウィタン」を固有の信仰として、中央政府に認定するよう要求している。