労使問題解決目指す 労働法コンサルタント協会発足 会長に日本留学のファリダ弁護士

 経済発展に伴い労働環境の整備が緊急課題となっているインドネシアで政府、労使双方の三者の間に立って労働問題の解決、改善を目指す法律専門家の組織が発足した。インドネシア労働法コンサルタント協会(HKHKI)で、29日にジャカルタでハニフ・ダキリ労働相(内定)はじめ関係者が参加する設立総会を開催する。同協会は労使問題を円滑に解決することで、インドネシア経済の国際競争力の強化につながるとも期待している。

 設立記念総会は労働省で開催する。新協会会長には中央大学法学部出身のイク・ファリダ弁護士(イク・ファリダ弁護士事務所所長・法学博士)が就任した。会員はインドネシア大学法学部の教授をはじめ法律学者、現役弁護士ら労働問題の専門家で構成、法律の制定から運用まで、政府、企業、労働側の間に立って労働問題解決のアドバイスをする。
 労働問題に関する法令が十分に整備されているとは言えないインドネシアでは、進出している日本企業が労使関係で戸惑う事態も少なくない。一例はメガワティ政権時代に制定された新労働法。国際的に見て労働者の権利を過度に保護する内容で、外資が同国への投資をためらい、マクロ的に国民の雇用機会が増えない現象も招いている。
 既進出企業も、従業員のアウトソーシング(外部委託=派遣社員)へ流れがち。政府もアウトソーシングの有用性を認め、ことし8月に労働相令でアウトソーシング下での派遣社員の権利擁護に乗り出した。しかし、企業の現場では、労使双方で関連法規や大臣令をめぐって解釈や意見の違いもあり、労使関係がスムーズに回らないケースも少なくない。
 この点、新協会は、アウトソーシングが企業の生産効率を引き上げ、労働条件を柔軟に運用する上で適切な手段と見ている。その上で、円滑な運用に向け労働者の保護の在り方、採用企業のシステム導入手続の円滑化が必要と指摘。新協会は政府、企業、労働側の間に立ってこうした問題の円滑な解決に向けて取り組みたいとしている。
 新協会はパプア州など遠隔地からの参加者も含め会員100人程度でスタート、向こう1年で会員数を全国で千人程度へ拡大を目指している。また、労働問題は専門外の一般弁護士事務所を対象とした訓練やセミナーの開催などで、インドネシアの新しい労使関係構築に取り組む考え。また法律専門家で構成する会員と別に日本企業をはじめとする経済界から賛助会員を募集し、労使関係に関する啓もう活動をするなど、経済界とともにインドネシアの労使関係改善に向けた環境整備に取り組む考えである。 (小牧利寿)

新団体がセミナー開催 日本企業に参加呼び掛け

 29日の設立記念総会開催に先立ちインドネシア労働法コンサルタント協会(HKHKI)は、同日、労働問題の権威が参加するセミナー「デジタルと先端技術時代の労使関係」を労働省で開催する。労働省労使関係促進・労働者社会保障総局長、法務・人権省法律人権総局長、インドネシア大学法学部大学院教授ら政府、学界の労働問題の権威が出席する。
 協会によると、伝統的な労使関係は、同国経済がデジダル化産業の進展により第4次産業革命(インダストリー4・0)への転換への対応を迫られている。最近、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領も各種オンライン・ビジネスを中心とした新産業時代到来に言及。主催者側はそうした観点から日本企業にも参加を呼び掛けている。
 連絡先はHKHKI事務局(電話021・521・3126、携帯0812・1282・0065)。(小牧利寿)

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