電動車投入が本格化 ダイハツ、HV世界初披露 国際オートショー開幕
インドネシア最大の自動車展示会「第27回ガイキンド・インドネシア国際オートショー(GIIAS)2019」が18日、バンテン州南タンゲラン市のブミ・スルポン・ダマイ(BSD)にある国際展示場インドネシア・コンベンション・エキシビジョン(ICE)で開幕した。28日まで。ダイハツがハイブリッドモデルのMPV「HY—Fun(ハイファン)」をコンセプトカーとして世界初公開するなど、日系各社が電動化技術を披露した。電動車の国内投入が本格化する中、普及に向け、政府による販売面の優遇策を期待する声が聞かれた。
HY—Funの世界初披露について、ダイハツ工業の奥平総一郎社長は「インドネシアのマーケットを見込んでの披露。インドネシアは最重要なマーケットの一つ」と話した。将来的な国内販売、現地生産を検討しているという。
軽乗用車「タント」もコンセプトモデルとして公開。部品の共通化を進め、生産コストを抑えた新開発手法「ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(DNGA)が使われた最初の車で、今後の国内工場への同手法の適応も検討しているという。
日産モーター・インドネシア(NMI)の関口勲社長は、2020年に電気自動車「リーフ」を国内に投入、次世代パワートレイン「イーパワー」搭載車の発売も計画していると明らかにした。
関口社長は「ことし秋から体験試乗会を開いていき、まずは電気自動車の乗り心地を知ってもらう」と話し、普及に向けた取り組みを進めていく姿勢を示している。世界で40万台超の販売実績を持つリーフの投入で、日産のブランド力を高めていきたい考えだ。
三菱ブランドの自動車を販売する三菱モーターズ・クラマ・ユダ・セールス・インドネシア(MMKSI)はプラグインハイブリッド(PHV)車「アウトランダーPHEV」を公開、ジャカルタ特別州での販売価格を12億8900万ルピアと発表した。価格の高騰に関し、中村直哉社長は輸入関税や奢侈(しゃし)税の影響が大きいと説明。「どこの国でも電気自動車の普及には政府の協力が必要。一緒に産業を作っていきたい」と話した。
トヨタ自動車の現地販売法人、トヨタ・アストラ・モーター(TAM)はプリウスPHVなどを展示、中田佳宏社長はHV、PHV、BEV(バッテリー電気自動車)、FCEV(燃料電池車)それぞれで電動化に対応していく方針を示した。政府は奢侈(しゃし)税の設定で排気量を基準にする税制改正を進めているが、「他国の例を考えても、それだけでは不十分」と指摘。「電動車の普及は民間だけでは厳しい」と、より踏み込んだ奨励制度の整備に期待した。
また、政府はこれまで低価格グリーン車(LCGC)の販売を奨励、税制で優遇してきた。LCGCブリオを主力として販売する四輪製造・販売のホンダ・プロスペクト・モーター(HPM)の渡邉丈洋社長は、電動化の流れを歓迎しながらも、「(LCGCを含めた)税制優遇の変化をチェックする必要がある」と話した。
政府が自動車産業をどう方向付けていくのか、注目が集まる。(大野航太郎、写真も、2面に関連)