洗濯機の生産強化 シャープ タイから移管、年150万台に
シャープ・エレクトロニクス・インドネシア(SEID)は16日、西ジャワ州のカラワン工業団地(KIIC)にある同社工場で、洗濯機の生産ラインを増設、生産能力を年40万台拡大したと発表した。製造体制の効率化のため、タイ工場から設備を移管、年150万台の生産が可能になった。増設で洗濯機販売量全体における輸出の比率を10%超に引き上げる目標を掲げる。大山貞会長が近く帰任し、寺岡真司社長が中心となる人事も明らかにした。
今回増設されたのは、一槽式の自動洗濯機の生産ライン。タイ工場では冷蔵庫と空調機の生産が増加しており、二層式洗濯機で年110万台の生産能力を持っていたカラワン工場に一槽式の生産設備を移管、生産ラインを活用することで、グループ全体の国際的な製造体制の効率化を図った。
増設の総コストは400億ルピア超。新規購入された設備もある。インドネシアに生産が集約されたことから、輸出の拡大が見込まれる。大山会長は「輸出をできるだけ早く(販売量の)10%としたい」と話した。東南アジア諸国連合(ASEAN)域内や、ドバイ経由で中近東などが輸出先となる。
「普及している洗濯機の約70%が二層式」(大山会長)という国内市場では、利便性を武器に都心部に住む共働きの家庭などをターゲットにする。今後の需要拡大を見込んでいる。
SEIDのことし5月時点の販売シェア(調査会社GfK調べ、SEID発表)は、洗濯機で25・1%、LEDテレビで22・9%、空調機で27・9%、冷蔵庫で28・7%と、いずれも首位になっている。
インドネシア市場に向けては、ハラル対応の冷蔵庫、ヒジャブ用の洗濯機、アザーン(イスラムの礼拝の呼びかけ)が流れるテレビを販売している。寺岡社長は同社の販売について、「この三つが全体を牽引している」と説明、レバラン(断食月明け大祭)期間の販売でも売り上げで前年同期比2桁増と好調だった。
寺岡社長は2009年から約10年間,インドネシアで営業を担当してきた。「シャープが続けてきた、アフターサービスなどでお客さまを大切にする姿勢を、次の(進出)50年、100年までつなげていきたい」と意気込む。
16日に同工場で開かれた式典にはアイルランガ・ハルタルト工業相が出席。輸出増に期待し、投資に応じた税制優遇などで国内製造業を支援すると話した。(大野航太郎、写真も)