「喫煙室設置は義務」 公共の場所やビルに 違憲審査で憲法裁

 喫煙室の設置に関して規定した健康法(二〇〇九年)一一五条第一項の違憲審査で、憲法裁判所はこのほど、公共の場所や職場などには喫煙室を設置しなければならないとの司法判断を下した。 ジャカルタ特別州内すべての建物での喫煙を禁じる州知事令(二〇一〇年第八八号)は無効になる。州知事令の施行後、建物内を一切禁煙として、屋外に喫煙スペースを設けるショッピングモールやオフィスビルが急増したが、全面禁煙にすると客足が遠のく可能性があるとして、モールなどでは一部のレストランやカフェで、分煙や時間帯によって禁煙とするなどしていた。たばこをめぐる法令が二転三転し、今後の法令運用も不透明なことが予想され、ビルの管理・運営者などは対応に苦慮することになりそうだ。

 この違憲審査は、たばこの愛好家団体「クレテック(丁子たばこ)擁護チーム」の愛煙家三人が昨年八月に請求したもの。三人は申し立てで、たばこは合法的な趣向品で、法律によって喫煙行為が保護されるべきだと主張。「建物の管理者に喫煙場所の設置が義務付けられるべきだ」としていた。
 これまで一一五条には「公共の場所や職場などの場所では喫煙室を設置できる」と明記してあり、建物の管理者に設置の判断を委ねている格好だった。請求では可能を表す助動詞「dapat」を削るよう求め、憲法裁はこれを認めたことで「――では喫煙室を設置する」と文言が変化。建物内などに設置が義務付けられることになった。
 憲法裁は、喫煙所を「健康被害を排除したい非喫煙者と喫煙者の間の利害を調整する存在」と解釈。修正前の一一五条について「(喫煙場所の)欠如を招く可能性があった」とした。
 インドネシア・ショッピングセンター運営業者協会(APPBI)のハンダカ・サントサ会長は司法判断に従う方針を表明。インドネシア大学のハスブラ・タブラニ教授(公衆衛生学)は「人通りが少ない本館と離れた場所に設置し、分煙を徹底するのが理想的」と指摘した。
 日系企業が多数入居する中央ジャカルタの商業ビル「ウィスマ・ケイアイ」は数年前に本館裏口そばに喫煙所を設置。ウィスマ・ケイアイ・インドネシア社の鍋谷政宏取締役は「過去の法令に沿うようすでに対策を講じている」と説明した。
 喫煙所を設けない選択肢があったこれまでの法令では、喫煙所がないにもかかわらずたばこを吸う人がいたことで、分煙が守られないというケースもあり、今回の判断は分煙化の徹底という意味では、嫌煙家にとって朗報とも取れる。
 しかし、インドネシア消費者協会(YLKI)のトゥルス・アバディ氏は地元紙に対し、「非喫煙者に必ずしも利益をもたらす方向には転じない」と分析。多くのショッピングモールの空調装置のダクトが喫煙場所のダクトと接続している現状を指摘し、「喫煙所が設置されても結局は客は煙が含まれた空気を吸うことになる」と語った。
 投資会社に勤めるムリアさん(三三)は、副流煙被害を最小限に食い止めることをねらう設置義務化に賛成した上で、「ストレス社会になりつつあるジャカルタで、喫煙者を縛り付けたらどうなる」と指摘。「目抜き通りを見れば分かるように、排気ガスなど、政府はより制限を強化すべき分野がある」と語気を強める。
 オフィスビル内で喫煙ができるカフェを経営するボウォさん(三五)は「健康に関する判断は個人の自由。他人に迷惑を掛けないことが一番大切だ」と話した。一方で、公共の場所での喫煙所設置の義務化について「設置をうながすために補助金制度を考案し、財源はたばこ税の増税で捻出(ねんしゅつ)すればよいのではないか」と語った。

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