古民家にカフェ開く 徳島県小松島市 ロンボク男性と日本女性

 徳島県小松島市、港町の一角の古民家で新しいカフェ「ディカフェ(di Cafe)」が営業を始めた。店を切り盛りするのはインドネシア・ロンボク島出身の男性と徳島市出身女性の夫婦。ロンボクコーヒーが香る広い居間に、インドネシア料理を愛する地元の人たちや、介護施設などで働くインドネシアの若者らが集う。

 デディ・オネックさん(44)と井本幾子(シティ・ハジャル)さん(36)の夫婦は2009年に京都市内のレゲエバーで出会った。デディさんは店のマネジャー。幾子さんは「客。友だちの友だち」(デディさん)だったという。
 「一目ぼれした」とデディさん。「でも最初は、お互い相手に彼氏、彼女がいるものだと思ってた」と幾子さんは照れる。デディさんは「長い交際の間に分かり合えた。外国人の私のことを、理解してくれるところが一番好きだ」と笑みを浮かべ、ギターでメローな曲を奏でた。
 16年に結婚。娘のアリヤちゃん(1歳10カ月)の出産を機に、幾子さんの古里、徳島県に移り住んだ。県内でカフェを開こうと、「県西部の三好や南部の海南も探した」と幾子さん。実家のある徳島市の南隣にある古民家を見つけた。
 「大正7年(1918年)に造られた2階建ての1階を借り、18年8月にカフェをオープンしました。インドネシアの布のデザインが、ここに使われている木とよく合います。ヤシの実や紙のランプシェードは二人で作り、ロンボクのサンゴや貝を飾りました」
 アリヤちゃんが絵本やおもちゃを持って記者に近づいてきた。お客さんからお勘定を受け取ることも。もう「看板娘」だ。
 幾子さんは「子育ては徳島で、と思っていました。自分が子どもと一緒にいるって、都会では想像できなくって。でも一生懸命ですよ」と微笑んだ。
 デディさんも言う。「東京や京都、名古屋で暮らしてきたが、何か違うと感じた。日本もインドネシアも島なのに…。都会の人はいつも仕事ばかりで、心を病んでいる。人生の意味を忘れているのでは。もっと楽しんだらいいのに。徳島に移ってきたのは、ゆったりした暮らしを求めて。ここはいい所だよ」
 記者が「店の名前の由来は」と聞くと、「今はどこにいるの」とデディさんに問い返された。「ディ・カフェ(カフェにいる)」と答える。「それだよ、それ」
 「自分の家のようなカフェにしたいんだ。お客さんが家族みたいな店に」
   ×   ×
 営業時間は午前11時半〜午後9時。ココナツミルクカレーやナシゴレン、ナシチャンプルなどの食事もでき、ランチセットもある。(徳島県小松島市で米元文秋、写真も)

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