レーザーで1000㌶測量 被災地パル、シギで テラドローン社、復興計画支援

 ドローンを駆使した測量サービスが中核事業のテラドローン(本社・東京都渋谷区)の現地法人テラドローン・インドネシアが、中部スラウェシ震災への日本の復興支援協力で、パル市の液状化被災地、港湾部とシギ県山間部の計千ヘクタールを測量した。同社として日本以外でここまでの広範囲は初の事例。測量結果は今後のインフラ設計などに活用される。
 同社は、昨年西日本を襲った豪雨や北海道の地震被災地などでの測量実績がある。機動性の優れるドローンにレーザー測距装置を取り付けて地上近くから測量することで、航空機やヘリコプターに搭載しての測量よりも高密度のデータが得られる。すでにインドネシア政府主体で航空測量が実施されているが、インフラ設計に堪えない精度だったため、より精度が高く短期間で納品が可能な同社が採用された。
 パル市とシギ県では3月下旬から約2週間で測量を終えた。測量中からデータ解析を始め、約1カ月で立体的な地図データを納品した。今回の現場では、三脚がついたトータルステーションなど、一般的な測量機器を用いた場合、測量から納品までに半年から1年はかかるという。
 同社のドローンレーザー測量システム「Terra Lidar」は早稲田大学と共同開発。精度を保ちながら、ネックとなる価格を従来の3千~4千万円から3分の1以下に抑えた。
 現地入りし、現法のインドネシア人スタッフと作業に当たったテラドローンの技術部現場・技術統括責任者の松本紘明さん(26)は「日本よりも山間部の木が高く、ドローンをレーザー照射が届く50~60メートルの高さで飛ばすことに苦労した。40度超の暑さでオートパイロットを管理するiPadが一時シャットダウンした」と振り返った。
 テラドローン・インドネシアはことし2月、現地ドローン測量会社を買収後、現在の社名に変更し設立した。抜本的な経営改革を進めており、今回ようなの広域測量だけでなく、採掘、油ガス、送電線の測量・点検も担っている。またドローンによる物流を目指し、空域管理システムも構築。自社保有のレーザー測量機体もあり、災害など急を要する現場にいつでも出動できる体制を整えている。

■福島で測量始めた
 松本さんはの出身地、福島県広野町は東日本大震災当初、福島第1原発から半径20~30キロの範囲で指定され、いつでも避難できる準備が求められた緊急時避難準備区域内にあった。津波の際、家は山側にあったため家族は無事だった。
 当時高校3年生だった松本さんは栃木県宇都宮市に3~4カ月間避難。仙台工科専門学校で測量学科を学んだ後、就職した地元の建設コンサルでドローンの測量に出会い、「今までの無理だったことが可能になってきた。これで測量に革命が起きる」と驚いた。より多くの現場を踏める場所をと2017年にテラドローンへ。以来、国外の現場に多く足を運んでいる。
 松本さんは「設計の人が早く作業できるように支援していきたい」と語る。「整備は終わったが更地のままでは復興とは言えない。人が街に入ったときが復興。早く元通りになってほしい」と願った。(中島昭浩)

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