EV国産化に注視 東京都中小企業振興公社 ビジネスセミナー開催
中小企業の経営支援を行う東京都中小企業振興公社は25日、西ジャワ州ブカシ県チカランのMM2100工業団地内で、第4次産業革命「インダストリー4・0」をテーマにセミナーを開催した。野村総合研究所タイの山本肇シニア・ディレクターが講演し、電気自動車(EV)をめぐる状況などを解説した。
山本氏はインドネシア政府が昨年発表した、インダストリー4・0のロードマップ「メイキング・インドネシア」で重点5セクターの一つに指定している、自動車産業を中心に解説。政府が2025年以降にEVの国産化と輸出を目指していると説明した。
自動車をめぐっては、スハルト政権時代に国産車政策で「挫折」を経験し、現在市場のほとんどを占める日系企業に技術、生産力で追いつかないが、EV生産では早期に中核技術を獲得、豊富な鉱山資源を背景に国内で部品を調達し、自国ブランドの設立も可能とみていると指摘した。
しかし、国内では9割以上の家庭でEVの充電容量を満たさない▽電力の発電状況が不安定▽財源に余裕がなく、購入時補助金などを提供しにくい――など、普及環境としてはタイ、マレーシアと比較しても厳しい状況にあると説明。政府による大幅な政策転換が必要だとした。また関連投資の誘致政策も未施行で、タイに比べ遅れているとした。
今後最低賃金の高騰などから投資が離れる懸念がある一方、22年を予定する西ジャワ州パティンバン港の完成や高速道に整備に合わせて工業地帯が拡大し、生産力が高まる期待もできるとした。
セミナーには日系企業関係者など約50人が集まった。(大野航太郎、写真も)