注目集まる新日本人学校 チカラン日本人会 (6)
前回約半年前の投稿で、ここチカラン地域における環境の大きな変化と、邦人住民の憩いの場「ジャパン・インフォメーション・センター(JIC)」を紹介した。この半年の間で新たにチカラン地区に引っ越してこられた日本人の数はますます増加しており、特に家族帯同での赴任が急増している。その理由の一つとして、ことし4月に開校するチカラン日本人学校があげられる。今回はその新学校設立について、これまでの経緯と現状をお伝えしたい。
現在、インドネシアに進出する日系企業が約1900社とされる中、半分にあたる約900社がジャカルタ東部地区で事業を展開している。今後も製造業を中心に、さらにジャカルタ東部地区へ多くの日系企業が進出することが見込まれる。その東部地区で働く邦人が抱える問題が、ジャカルタの自宅から東部地区の会社までの大渋滞による毎日の長時間通勤である。
せっかく帯同で来てくれた家族とも一緒に過ごす時間が非常に限られてしまっている。また企業としても、通勤にかかるコストがかさむ上、長時間移動による社員の心身への大きな負担、また自動車事故など安全面でのリスクを懸念している企業も多い。
在留邦人が生活環境面において頭を悩ませており、関係者の間で首都圏東部に日本人学校設立を求める声が強くなっていた。在留邦人が「いま、まさに困っている」状況を解決すべく、2015年に在留邦人有志が集まり学校設立調査ワーキンググループが発足され、学校設立のニーズや日本政府が定める日本人学校設立の要件を満たすかなどの調査が始まった。
17年3月、企業および個人の有志約50人により学校設立準備員会が設置され、候補地選定や校舎・施設のデザイン・構想制作、日イ政府への許認可申請書類作成など、設立に向けた具体的取組みが行われてきた。これらの活動はすべてボランティア活動でありながら、「子どもたちに等しく教育機会を提供したい」という使命感を持って新校実現に向け取り組まれている有志の皆さまには、心より感謝を申し上げたい。
同年12月に学校建設予定地も公募によりデルタマス地区に決定した。デルタマス地区は、日系企業が参画する世界最大規模の複合都市計画を掲げ、ジャカルタ第2の首都圏として、「学・住の一体化、職・住の近接化の実現」を目指す。日系企業も多く、邦人住民も急増している。
チカラン日本人学校は、小学部・中学部の全9学年。敷地面積は4ヘクタール、まずは約400人に対応できる学校規模を予定している。また将来を見越し増設用の土地も確保しており、今後必要に応じてさらに拡張していく。
学校設立許可および運営に関して、昨年12月に日本の文部科学省から正式に承認された。ジャカルタ日本人学校維持会の下にバンテン州南タンゲランにあるジャカルタ日本人学校(JJS)とチカラン日本人学校(CJS)の2校が運営される。19年4月の開校に向け、JJS維持会をはじめとした関係者の皆さまが全力で取り組まれているが、チカラン地区のさらなる発展につながるこの歴史的な取り組みをチカラン日本人会としてもぜひ応援したい。
ここまで、いかに素晴らしい学校がチカラン地区に開校するかをお伝えしたく、今までの経緯と現状を記載した。「学校ができる」ということはすごいことである。それにより人が集まり、店が増え、都市ができ、地域発展が進む。
学校が与える地域への影響はとても大きい。また、新学校開校に伴い在留邦人および日系企業の増加につながり、日イ企業のさらなる発展向上や地域コミュニティーとの交流がより活発化し、教育的にも文化的にも大いなる活躍を期待する。このチカラン日本人学校が、日イ双方にとって永続的かつ複合的に有益となることを望んで止まない。 地域住民としてどんな学校ができ、どのような地域になっていくのか、大変楽しみである。
なお、チカラン日本人学校に関する問い合わせは、チカラン日本人学校設立準備委員会事務局(メールcjs.qahelp@gmail.com)まで。(チカラン日本人会、大竹勝也)