全国統一時間を検討 15億人の経済圏も視野に 同一時間帯に中国、香港、豪州 株式取引など効率化

 経済開発加速・拡大委員会(KP3EI、委員長・ユドヨノ大統領、執行委員長・ハッタ・ラジャサ経済担当調整相)がこのほど「時間帯が分かれているのは効率的でない。標準時を導入すべきだ」と提言し、西部、中部、東部と三つの時間帯を中部時間に統合する案を打ち出した。この時間帯には、中国、香港、豪州(西部)などがあり、時間帯別では十五億人となる世界最大の人口を抱える時間帯で、統一時間導入により、対象国との経済的なつながりを一層強化し、自国の発展に結び付けようというもくろみだ。

 インドネシアの国土は、米国大陸とほぼ同じ東西約五千キロ、南北は赤道を挟んで約二千キロ。大小一万三千あまりの島々からなる群島国家の時間帯は、西部(ジャワ島、スマトラ島、カリマンタン西中部)中部(バリ島、ヌサトゥンガラ諸島、スラウェシ島、カリマンタン島南部)、東部(パプア)の三つの区分けになっている。
 検討されているのは中部時間帯への統合で、英国のグリニッジ標準時(GMT)に八時間先行する「GMT+8」に合わせる案。日本との時差はマイナス一時間。 
 この時間帯には、中国、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、豪州(西部)など十五億人が居住している。標準時が実現すれば、これまでの中部時間帯を除き、ジャワ島を含む西部時間帯の約一億九千万人やパプアがある東部を合わせて約二億人が加入することになる。
 ダルミン・ナスチオン中銀総裁は「目に見える影響は、株式市場の大引けになるだろう。ジャカルタでは、午後四時に終了となる。統一時間で、都市間での取引費用が減少するだろう」と述べ、シンガポールや香港との取引で効率が高まることに歓迎の意を表明した。
 二〇一五年のASEAN(東南アジア諸国連合)経済共同体設立へ向け、導入が検討されているASEAN標準時もGMT+8が最も有力な案という。タイやベトナムとの時差はマイナス二時間。
 インドネシアと同じで東西に長く、人口が東側沿岸に集中している中国では、一九三〇年代に標準時を導入。アジア最大の面積を誇るが、時間帯は一つだけとなっている。
 シンガポールは経度でみると「+7」に属するが、約三十年前にマレーシアに時間帯を合わせた。
 日付変更線の近くに位置する島国サモアでは昨年、時間帯を島の東側から西側に変更。主な貿易相手国であるオーストラリアやニュージーランドとの時差が二十時間以上あり、商取引の可能日数は週四日と短いことが弊害になっていた。日付変更線を東側に定めた約百二十年前は、米国などとの貿易が盛んだったためだ。

■地方間取引にも恩恵
 近年の好調な経済を背景に、地方都市間の取引も増加する中、KP3EIのエディブ・ムスリム報道官は「営業時間が午前九時から午後五時までの八時間とすると、西部と東部で取引する場合には実質半分の四時間になってしまう」と語り、時間の統一による経済効率性の向上に期待を示した。
 ハッタ調整相は「良い面も悪い面もある。時間を統一すれば、生産性は高まるだろうが、導入にはしっかりとした研究が必要だ」、アグス・マルトワルドヨ蔵相は「たしかに、スマトラなどの西部インドネシアは、シンガポールより一時間遅れだが、慎重に検討を進めなければならない」などと述べ、今後、導入の利点や障害などをじっくり討議していく方針だ。

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly