笑いと感動の10周年公演 劇団en塾 忍者学校を舞台に
インドネシア人大学生らによる日本語ミュージカル劇団「en塾(エンジュク)」が22、23両日、中央ジャカルタのジャカルタ芸術劇場(GKJ)で本公演を行った。来年1月に迎える劇団の創設10周年と日イ国交樹立60周年を記念した節目の公演。忍者学校を舞台に笑いあり、感動ありのオリジナル作品を披露し、2日間で約千人の観客を魅了した。
上演したのは、en塾が初めて忍者をテーマにした「姫とオロチと忍者の学校」。くノ一の格好をしたお城の輝姫(てるひめ)と人間に化けた怪しげなオロチ(大蛇)が忍者学校に入学してきて、忍術を学んだり、敵国の忍者と戦ったりするストーリー。
上級の「壱影」から下級の「十九影」までいる個性豊かな忍者生徒たちや、人に化けてもなおクネクネと蛇のような動きをするオロチたちが観客の笑いを誘った。
演技部、衣装部、舞台美術部からなる劇団員78人で挑んだ本公演。30人の忍者の動きは、忍者ショーを行う三重県伊賀市のパフォーマンス集団「伊賀之忍者衆 羅威堂(らいどう)」の専門家を招いて剣術や手裏剣などの手ほどきを受けた。en塾の団長で輝姫を演じたヌル・シャブリナ・サルサビラさん(26)は上演後、「最初は主役のプレッシャーを感じていたけれど、みんなと一緒に練習してたくさんパワーをもらって頑張れた」と笑顔を見せた。
娘が劇団の衣装部に所属するという北ジャカルタ区のリナ・スクマワティさん(43)も観劇し、「稽古で深夜に帰って来て、かわいそうに思うこともあったけれど、完成した作品を見て娘を誇りに思った」とうれしそうに話した。
en塾はことし、日イ国交樹立60周年の親善応援団を務め、今回の公演はその締めくくりでもある。
en塾の顧問、甲斐切清子さん(61)は「区切りの年に親善応援団に選ばれて本公演ができたことがうれしい。劇団員は大学生がほとんどだが、60周年のイベントをしっかりこなしてくれた」と振り返った。(木村綾、写真も)