森林産業に投資を 非木材資源活用へ 東京でワークショップ
在日本インドネシア大使館は4日、国際機関日本アセアンセンターと共催で森林ビジネスワークショップを東京都内で開催した。同国が推進する非木材資源の有効活用に重点を置いた森林政策に沿い、インドネシア環境林業省と各州の森林管理ユニット(FMU)の代表者らが来日、ビジネススキームの提案や、各地域の森林資源のポテンシャルが紹介された。
開会にあたってアリフィン・タスリフ駐日インドネシア大使は「外国との森林協力は木材や紙製品供給で1967年からすでにあるが、政府は今後、非木材森林資源の販売価値を高め、国際市場に流通させる一貫した政策の中で連携や投資を期待している」と述べ、日本の産業界に積極的な関与と投資を呼びかけた。藤田正孝・日本アセアンセンター事務総長は 「相互に便益がもたらせるようFMUとの協力を検討する機会としてほしい」と応じた。
ワークショップに合わせて来日したミスラン・環境林業省持続的生産林管理総務局長は基調講演で「政府は持続可能な森林資源開発の具体化にようやく乗り出した」とし、同省の実施するFMUによる管理システムと輸出品への認証制度などの取り組みをアピールした。
午後の部では、カリマンタン、スマトラ、スラウェシなど各地のFMUの代表者7人が、ポテンシャルのある資源として、蜂蜜、ラタン(トウ)、カユプティ(木のオイル)、コーヒー豆(アラビカ種)などを紹介した。また、農産品分野で現地生産者と協力して新規事業を行うケースとして、カリマンタン産のこしょうを加工した商品を製造・販売する「仙人スパイス」や、中部ジャワ州スマランのさつまいもを原料とした大学いもの商品化を提案する「株式会社ベジスタンス」の取り組みが示された。
FMUは環境林業省の規定に基づく森林周辺のコミュニティーをベースとした管理ユニットで全国に206の活動組織がある。政府はFMUと国内外の民間企業との連携を推奨している。
同国が持つ森林産業の裾野は広い一方でビジネスモデル構築の点で課題が多い。行われた意見交換では例えば、蜂蜜は大半のFMUが生産しているものの商品の差別化が不十分。日本で売るには包装や、商品の安全性に配慮する必要があるなど指摘された。ワークショップには製造業、小売業、商社などの日本の関係企業から約70人が出席した。(斉藤麻侑子、写真も)