ガソリン値下げを検討 プルタミナ 原油価格急降下背景に
国営石油・ガスプルタミナはプルタマックスなどのガソリン燃料価格の引き下げを検討する。販売業者が価格を設定する一般燃料が対象で、エネルギー鉱物資源省と協議していく方針だ。10月以来急降下する原油価格に対応したい考えだが、価格変動の波の見極めは難しい。
ニューヨーク原油先物相場で20日、前日比8%近く急落し、1バレル当たり52ドル台を記録した。約1年1カ月ぶりの安値更新に、国内市場の反応は大きかった。
インドネシア国内では2017年後半からの原油価格上昇に応じて、燃料価格は上がっている。プルタマックスが1リットル当たり1万400ルピアで、プルタマックス・ターボが同1万2250ルピアなどの価格帯で、ことし7月末と比較しても1割程度値上がりしている。
原油価格の上昇に加わるルピア安と、マイナス要因が重なり、輸入増による赤字でプルタミナの経営状況は厳しさを増している。
燃料価格は輸送コストにも連動し、物価に影響を与える。政府としては、大統領選を控えた現在の値上げは避けたいのが実情だ。10月半ばにはジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が、一般燃料と異なり政府が価格を設定するレギュラーガソリンの価格引き上げを発表し、すぐに撤回したことも記憶に新しい。
産業界からも価格引き下げを期待する声は高い。
ただ、原油輸入からガソリンとして販売されるまでのタイムラグも考慮する必要があり、政府内にも値下げに慎重な意見がある。12月の石油輸出国機構(OPEC)総会で大規模減産が決まる可能性が低いことなどが要因で、原油価格は急落しているが、日系投資会社のアナリストからは「世界経済そのものの減速が影響している」という指摘もある。国際エネルギー機関(IEA)も原油市場について、「これまで経験したことがないような不確実な局面にある」とコメントしている。
19年は原油の供給過剰に転じる可能性もあるが、1バレル当たり50ドルを一つのラインとして安定することが期待される。液化天然ガス(LNG)輸出国のインドネシアとしては、過度な原油価格下落は不安定要因にもなりうる。
政府はガソリンの需給バランスと原油価格と為替動向を見極めた上で、値下げか否かの決断をしようとしている。(平野慧)