FC東京コーチ指導で大勝 U―19がU―23世代相手に
昨季国内サッカーリーグ1部「リーガ1」覇者のバヤンカラFCのU―19(19歳以下)チームに派遣された、FC東京を運営する東京フットボールクラブ(東京都江東区)の権東勇介コーチ(35)は15日、6日間の日程を終え、「個人でなく、意識してグループで連動してプレーすることが少しできるようになった」と成果を語った。
10、12~14日に練習を実施。15日はU―23世代のチームで構成される3部リーグ「リーガ3」に所属する南ジャカルタのPSJSとの練習試合に臨み、U―19バヤンカラが8―1で大勝した。PSJSのエキ・バフティアル監督(49)は「随所で日本代表の中盤のようなプレッシングが見られた」と驚いた。
バヤンカラFCは国家警察が所有。U―19チームは4月、約2千人が参加したセレクションを通過した35人で構成、うち4人が警察官。ビンタン・セメさん(17)は「どうやったらシンプルで良いプレーができるかやどういう攻撃や守備をすれば効果的かを知ることができた。自信になったし、チームで協働する大切さも学べた」と権東さんの指導でプレーの幅が広がったと笑顔を見せた。
権東さんは今回、練習テーマに「見る、考える」「動きながらのプレーのグループトレーニング」を掲げていた。試合後は「イメージを共有したり先のプレーを予測する、考えるという力は少し弱い。単発のプレーでなく、ミスしたら次という連続性がついたらもっともっと良くなる」と話す。
権東さんはコンサドーレ札幌などでプレーし2008年に引退。転身のきっかけは、小学校5年、中学校2年向けに夢を持つことの大切さやプロになる時の挫折とその乗り越え方などの実体験を伝える日本サッカー協会(JFA)の「夢先生」に講師として参加したこと。「子どもたちの顔がどんどん変わっていって、自分の人生が子どもたちに還元できる」と思った。
「モットーは選手一人一人をしっかりと見る。一人一人がしっかりと成長できる環境を作ってあげる」こと。通訳を介してのコミュニケーションには苦労したが、「子どもたちに考える力をつけさせるため、なぜこのトレーニングをやるか会話しながら進めると、どんどん吸収していく。良いプレーをした時に、タイムリーで伝えられなかったのは歯がゆかった」とはにかんだ。
FC東京の指導者派遣は国際交流基金やJFA、日本プロサッカーリーグが協力し、今回で4期目。東京フットボールクラブの藤原兼蔵新規事業部長(44)は「バヤンカラFCというはっきりした相手とファーストコンタクトができ、お互いやりたいことを共有できたのは大きな一歩」とし、今後の関係性向上を期待した。(中島昭浩、写真も)