津波の経験を絵本で アチェやバリで学校訪問 早大の防災教育サークル

 防災教育活動を行う早稲田大のサークル、早大防災教育支援会(WASEND)が2004年のスマトラ沖地震・津波の被災者の体験を基にした絵本を制作。所属する学生ら12人が8月29日~9月12日に来イし、アチェ州バンダアチェ、北スマトラ州メダン、バリ州の小学校11校を訪問、絵本を手に子どもたちに防災教育を行った。バリでは当初、学校訪問の予定はなかったが、隣のロンボク島の地震を受けて急きょ実施した。 

 WASENDはスマトラ沖地震・津波をきっかけに、若い人たちへの防災教育を目的に発足したサークル。創造理工学部・社会環境工学科の学生らが中心となって10年以上、インドネシアや日本の子どもたちに防災教育を行ってきた。
 3年前、バンダアチェで教育活動を行った際、11歳で被災し家族6人全員を津波で亡くしたワヒュー・ムバラクさんと出会い、その経験を題材とした絵本をことし8月に完成させた。日本語・英語版とインドネシア語版がある。
 学校では絵本を読み聞かせ、子どもたちに地震や津波の恐ろしさだけでなく、被害に遭ったときはどうすればいいのかを伝えた。また、絵本計300冊を小学生や市役所などに寄贈した。
 プロジェクターに映し出された絵本を子どもたちは食い入るように見つめ、津波のシーンでは口を押えて驚く子も。生々しい表現は避ける配慮をして作った絵本だが、実際に被災したバンダアチェの小学校の先生の中には、津波の場面で「思い出したくない」と教室を出る人もいた。
 04年以降に生まれた子どもたちは、津波のことは知っているが、防災教育は学校のカリキュラムには取り入れられておらず、避難の方法などはあまり知られていないという。
 WASEND代表の勝本靖大さん(21)は「学校の先生は防災教育をしたいが、教科書もなく、どういうふうにすればいいのか分からない状況がある」と説明する。訪問の際は、絵本を活用してもらえるよう教員らと話し合った。
 絵本は、WASENDの支援や自然災害被災地の復興支援・防災対策を行う非営利団体(NPO)の「国境なき技師団」が発行。国内外の小学校などに寄贈しているほか、1冊500円で販売、WASENDの活動資金に充てている。問い合わせは国境なき技師団(☎+81・3・3209・5124、メールinfo@ewb-japan.org)まで。(坂田優菜)

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