補助金で敷居低く 日本の低炭素技術 二国間クレジット制度セミナー
日本の環境省と公益財団法人地球環境センターは24日、日本政府の補助金で発展途上国に低炭素技術を提供し、達成した二酸化炭素(CO2)排出削減量の一部をカーボンクレジットとして日本側の削減量に換算する「二国間クレジット制度(JCM)」を紹介するセミナーを開催した。
会場の中央ジャカルタ区のホテル・メリディアンで、経済調整省や日本の環境省、国際協力機構(JICA)のほか、JCMに参画する企業や自治体が取り組みを紹介。日イの企業から約200人が参加した。
日本は2013年1月以降、17カ国とJCMを構築、これまでに約130案件を実施している。インドネシアとは同年8月にJCMを開始し、最多の約30案件が行われてきた。
JCMでは、日本企業が途上国の企業などへCO2削減効果のある製品やサービス、インフラなどを提供する際、政府が最大50%の補助金を拠出。途上国側の低炭素・省エネ技術導入のハードルを下げ、温室効果ガスの排出量削減に貢献するほか、日本企業の低炭素技術を売り込みやすくする狙いがある。
地球温暖化防止の国際的な枠組み「パリ協定」で、日本は30年までに温室効果ガスの排出量を13年比で26%、インドネシアは同29%削減する目標を掲げている。日本政府はこれとは別に、JCMなどの取り組みを通して30年度までに累積5千万〜1億トンのCO2削減目標を掲げる。また、インドネシア政府は先進国による支援の下、さらに9%の削減を目指しており、JCMによって得られたクレジットはこれに加算される。
セミナーでは各企業から、新たな設備導入による工場やビルの低炭素・省エネ化、ソーラーパネル設置などの事業やJCMに向けた都市間連携などが紹介された。
富山市は中部ジャワ州スマラン市と連携。富山市の企業がスマラン市の公共バス「トランス・スマラン」の燃料を開発することで温室効果ガス削減に取り組む。またジャカルタ特別州は川崎市と協力して、州内のオフィスやホテルなどの省エネ化を進めていく方針だ。
経済調整省JCM担当のチャハディ・ユドダホノ氏は、JCMは補助金により省エネ実現へのハードルが下がり「(パリ協定の目標達成に向けた)スピードアップに貢献している。インドネシア企業からの関心は非常に高い」と意義を語った。(坂田優菜、写真も)