ごみ収集の父へ感謝 スマラン国立大生がV 第47回日本語弁論大会
第47回日本語弁論大会大学・一般の部全国大会が14日、中央ジャカルタの研究技術・高等教育省ホールで開かれ、全国9地区の予選を勝ち抜いた14人が日頃の日本語学習の成果を約300人の聴衆に披露した。ごみ収集を仕事にしている父親への感謝を語ったスマラン国立大学のセリ・イナヤンティさん(21)=中部ジャワ、ジョクジャカルタ地区代表=が優勝した。
セリさんは「プラスチックのゴミで育てられた私」と題してスピーチ。「汚いごみを集めているなんて恥ずかしい」と父親の仕事を嫌っていたセリさんだが、大雨の日、父親が集めていた袋を使って土のうを作り、川の氾濫から村を守ったことをきっかけに、父親を尊敬するようになったという。
その後、セリさんは父親の仕事を手伝い始め、「プラスチックのごみをリサイクルすることで、家族だけではなく地球のためにも役に立っている良い仕事だと思えるようになった」と振り返った。
表彰を受けたセリさんは「うれしくて言葉が出ない。お父さんにありがとうって言いたい」と涙を流した。今後東京で開催される予定の東南アジア諸国連合(ASEAN)日本語スピーチコンテストに参加する。
2位に輝いたマラナタ大学のリキ・スギアントさん(22)=西ジャワ地区代表=はスピーチの前に「よろしくお願いします」と元気な声で一礼し、聴衆を沸かせた。リキさんは無気力に過ごしていた高校生時代、姉の土産で食べたすしのおいしさに感動。日本料理に興味を持ち、大学では日本文学科に進学した。
大学で後輩を指導する中で「人を励まし、自も成長すること」という人生の指針を得たとし、「リキという名前は日本語でエネルギー、パワーという意味だった。自分が生きているのは自分だけじゃなく、他の人に力を貸すためなんだと確信した」と語った。
3位はブラウィジャヤ大学のベナルド・カサデナ・マメサさん(20)=東ジャワ地区代表=で、母親の手作りスープに力づけられたエピソードを紹介した。
4位に入賞した同大学のアルマニア・バウォン・クレスナムルティさん(20)=同地区代表=は桜を引き合いにバナナの木の魅力を紹介。「バナナの木が人間に恵みを与えるように、人と人が支え合ったら、この世界はもっと平和になる」と話した。
審査委員長を務めた日本大使館の中村亮公使は「どれも非常に高い水準のスピーチで、(日イ国交樹立)60周年にふさわしい大会になった」と講評した。
大会は国際交流基金と元日本留学生協会(プルサダ)、研究技術・高等教育省の共催。会場には出場者の親族らが集まった。(大野航太郎、写真も)