日イ6機関が初訓練 海賊対策で連携強化 ジャカルタ沖
海上保安庁は11日、ジャカルタ沖でインドネシアの海上保安を担う5機関と合同訓練を行った。同庁がアジア各国と進める海賊対策の連携強化策の一環で、5機関と同時に行うのは初めて。
訓練には、海上保安庁が派遣した巡視船「つがる」(3100トン、ヘリコプター1機搭載)、インドネシアから海上保安機構(BAKAMLA)、国家捜索救助庁(BASARNAS)、運輸省海運総局警備救難局(KPLP)、海上航空警察(IMAP)、海洋水産省が参加。巡視船計6隻が参加し、容疑船の捜索から捕捉、法執行までの過程の確認など、基礎的な内容で約5時間行われた。
訓練後、つがるの鈴木浩久船長は「海上協力の現場では共に汗を流してきずなを深めるのが一番」と合同訓練の意義を強調。視察した国軍のエコ・ジョコウィヨノ少将は「日本とインドネシアの協力は今後もっと深くなるだろう」と訓練継続に意欲を示した。
インドネシアでは海上保安を担う組織が一元化されておらず、日本側とはこれまで個別に訓練を重ねてきた。今回の調整役を担った海上保安庁の三浦淳課長補佐は「組織同士にはあつれきがあり、事前会議の際に感情的なやりとりが行われることもあった。今回のような訓練を続けることで、各組織の交流も深まれば」と語った。
クアラルンプールにある国際海事局(IMB)によると、2017年にインドネシアで発生した海賊襲撃事件は前年比12%減の43件で、全世界の発生国・海域別で6年連続最多だった。ジャカルタや東カリマンタン州サマリンダ、リアウ州ドゥマイ沖で停泊中の貨物船などを襲撃する事件が大半だという。
つがるは9日、北ジャカルタのタンジュンプリオク港に入港。12日にはインドネシアの海上保安に従事する若手職員向けに研修セミナーを開催する。13日に同港を出港し、25日に函館の母港に入港する予定。(大野航太郎)