国内初の風力発電所 100ヘクタールに30基稼働 南スラウェシ州 発電能力75MW

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は2日、南スラウェシ州シデンレン・ラパン県シドラップ風力発電所の開所を宣言した。国内初となる本格的な風力発電プロジェクトで、100ヘクタールの敷地に設置した30基の発電機の発電能力は75メガワット(MW)。再生エネルギー比率向上に不可欠な事業として政府は今後、横展開を進めていく考えだ。

 同発電所建設の投資額は2兆ルピア。欧州系風力発電大手UPC主導のコンソーシアム(企業連合)が95%を出資し、UPCシドラップ・バユ・エネルギーが運営する。国営電力PLNと2015年8月に売電契約を結び着工、18年3月末から商業運転を開始している。
 東南アジア地域の中でも大規模な水準で敷地面積は100ヘクタール。高さ80メートルの塔に、回転する円の直径57メートルのブレードが設置された発電機30基が並ぶ。設備は国産品を40%使用している。
 PLNは同発電所建設で500人以上に雇用をもたらし、数万世帯に電気を供給することができるとしている。
 政府は3万5千MWの電力開発をスローガンとして掲げると同時に、再生可能エネルギー比率を25年までに23%(現状は8〜9%)まで高めることを目標にしている。資源価格にコストが左右され、環境への悪影響が指摘されている火力発電への依存度を下げるためだ。
 再生可能エネルギーでは、地熱発電事業については伊藤忠商事、九州電力、国際石油開発帝石の3社が参画する世界最大規模(発電能力約330MW)の北スマトラ州サルーラ地熱発電所が本格稼働している。住友商事や丸紅なども各地で事業を展開している。
 一方で、風力発電では国内全体の取り組みが遅れており実績に乏しい。「事業の採算性や、天候や自然災害などのリスクを考えると大規模投資をしにくい」(日系商社幹部)という意見もある。エネルギー鉱物資源省はシドラップ発電所に続く大型プロジェクトへの参画を国内外の大企業に呼びかけると同時に、「300億〜500億ルピア程度で設備が1基設置できる」(同省幹部)として、広く投資を募る考えを示している。事業地は東ヌサトゥンガラ州スンバ島や西・南スラウェシ州などが適しているという。

■第2弾も8月に稼働

 政府は南スラウェシ州ジェネポント県で建設が進むトロ・ジェネポント風力発電所(発電能力72MW)も8月に商業運転を開始する見通しを示した。また、南・中部スラウェシ州で計画が進行中の石炭・ガス発電所を順次稼働させ、757MWの発電能力開発を実現するロードマップを発表。同地域の電力供給に力を入れる姿勢を示した。(平野慧)

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