離島開発に25億円供与 河野外相来イ 海洋分野協力、具体化へ

 アジア歴訪中の河野太郎外相は25日、ジャカルタでジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領やレトノ・マルスディ外相と会談した。リアウ諸島州ナトゥナ諸島など6島における漁港施設や市場の整備などに25億円を無償供与することで合意し、書簡を交換した。離島の振興、発展を通じて海洋分野における両国の協力を強めていく姿勢を示した。

 ジョコウィ大統領は河野外相との会談後、国連総会で、インドネシアの国連安全保障理事会の非常任理事国選出に対する日本の支援に謝意を表明。ことしが国交樹立60周年を祝う日イ両国にとって特別な年であるとした上で、戦略的パートナーとしてさまざまな分野での協力関係を強化したいと話した。
 離島の漁業開発では、インドネシアがアジア市場の製造拠点となれるよう日本の協力を期待していると強調。リチウム電池製造・電気自動車開発での協力強化にも言及した。
 河野外相はレトノ外相との会談後、記者団に対し、日本の「自由で開かれたインド太平洋戦略」とインドネシアの「海洋国家構想」は、方向性は同じでシナジー(相乗効果)があるとし、「海洋分野における協力を強化していく」と話した。
 無償供与は水産セクター開発が目的で、冷蔵・冷凍設備や製氷施設などを整備する。ナトゥナやビアク(パプア州)、モア(マルク州)、サウムラキ(同)、モロタイ(北マルク州)、サバン(アチェ州ウェ島)の6島が対象で、水産物の高付加価値化や島外への流通を促進する。
 離島開発での連携は2017年1月に来イした安倍晋三首相がジョコウィ大統領と会談して決まった内容で、ことし5月には来日したスシ・プジアストゥティ海洋水産相が日本側に協力を改めて促す意向を示していた。今回の合意で具体化に向けて動き出した格好となる。
 南シナ海に広がるナトゥナ諸島は、中国やベトナム船籍の違法操業が目立ってきた地域。政府が17年7月に諸島北部に広がる排他的経済水域(EEZ)の正式名称を「北ナトゥナ海」と定め、南シナ海の領有権を主張する中国側の反発を呼んだ経緯もある。河野外相は法の下の航行の自由、海洋法を中心とした法の支配の重要性を国際的に発信していく考えを示し、インドネシアをはじめとする「東南アジア諸国連合(ASEAN)をバックアップしていきたい」と語った。
 テロ対策への支援も行っていく方針を表明。また、年内に日本で外務・防衛の担当閣僚会議(2プラス2)を開くため日程調整に入ると明らかにした。
 レトノ外相との会談では北朝鮮問題に関しても言及した。「国連安保理決議の厳格な履行を続け、すべての大量破壊兵器の完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄を求めていくことで一致した」と述べた。
 河野外相は同日、ジャカルタ中心部で建設が進む大量高速鉄道(MRT)駅も視察した。26日にタイを訪問し、27日に開催の「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合」(シーパッド)に共同議長として出席する。(平野慧、リンダ・シラエン)

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