国軍の参加、9割が支持 テロ対策世論調査 「犯人に死刑を」

 バリ島爆弾テロ事件直後に制定されて以来、15年ぶりに改正された反テロ法について、日刊紙コンパスが全国14都市で実施した世論調査で、9割以上がテロ対策への国軍参加を支持、犯人への罰則も死刑にすべきだと回答し、厳重措置を求めていることが分かった。過激派組織による一連のテロ事件を受け、国内メディアは大学など過激思想拡散の温床根絶を呼びかけている。
 コンパス紙の調査は23、24日、全国14都市で無作為に抽出した17歳以上の573人を対象に電話で実施した。
 テロ対策への国軍の参加の是非を問う質問で、回答者の94・1%が参加を支持した。1998年のスハルト政権崩壊後、国軍は国防、警察は国内治安と担当分野を分けたが、爆弾を使用するテロが続発していることもあり、国軍がテロ鎮圧に参加すべきだとする声が大多数を占めた。
 国軍の関与がスハルト政権のような事実上の軍事政権の再来を招く可能性もあるとしたのは36%にとどまり、57・6%は心配していないと答えた。
 テロ実行前の段階で、関与が疑われる者の予防拘束には81・5%が賛成した。容疑が特定されていない段階で警察が盗聴や身柄拘束を行うことをめぐり議論があったが、誤認逮捕などを懸念する人は少数にとどまった。法改正で予防拘束の期間は7日から14日に、容疑者の拘束期間も6カ月から9カ月に延長されたが、82%はこれに賛意を示した。
 警察機動隊本部の拘置所でテロ犯らによる暴動が発生した直後でもあり、「警察はテロを根絶できる」と答えたのは73・6%にとどまった。テロ犯への罰則を問う質問では、死刑に賛成した回答者は92・5%に上り、厳罰を望んでいることが浮き彫りになった。
 54・5%が「現在の治安は不安」と感じているが、日常生活に与えるテロの影響については、東ジャワ州スラバヤ市の回答者の63・6%が「影響ない」と答えた。
 改正反テロ法は国会が25日に可決した。国軍のテロ対策参加は、大統領が国軍司令官や国家警察長官、国防相ら治安担当閣僚の見解を基に合同作戦発動を命じる。

■過激思想拡散に懸念
 一方、28日発売の週刊誌テンポは、主要国立大学の学生組織が過激思想拡散の温床になっていると指摘する特集を掲載した。国家情報庁(BIN)消息筋の話として、特に深刻化している大学としてバンドン工科大やインドネシア大、ボゴール農科大、イスラム大(南スラウェシ州マカッサル)を挙げ、「国家5原則パンチャシラや民主主義のような人間が造ったものを否定し、神の教えを基にしたイスラム国家の樹立」を説く活動を問題視した。
 活動を活発化させている学生組織として、「ハルモニ・アマル・ティティアン・イルム(HATI)」や「グマ・プンベバサン(解放のこだま)」を挙げ、政府が昨年、イスラム国家樹立を目指しているとして解散させた強硬派組織「ヒズブット・タヒル・インドネシア(HTI)」の受け皿となっていると指摘。これに対し、HTI側はイスラム国家樹立と過激思想は同一視できないとし、「過激思想は教えていない」と反論している。(配島克彦)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

私のじゃかるた時代NEW

編集長の1枚NEW

キャッチアイ おすすめニュースNEW

インドネシア企業名鑑NEW

事例で学ぶ 経営の危機管理

注目ニュース

マサシッ⁉

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

有料版PDF

修郎先生の事件簿

メラプティ

子育て相談

これで納得税務相談

おすすめ観光情報

為替経済Weekly