少数派の権利訴える スハルト退陣20年 イスタナ前に600人

 1998年のスハルト退陣後、「レフォルマシ(改革)」が盛んに叫ばれ、民主化時代への第一歩を踏み出したインドネシア。あれから20年。市民の自由は拡大したが、今なお改善しないマイノリティーの人権などを訴える集会が20日、中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)前で開かれ、労働者団体や少数派の宗教・民族、女性の権利を訴える17団体、約600人が参加した。
 主催の労働者団体「スダル」代表のサリナさん(29)は「スハルト退陣後、自分の意見を主張できるようになるなど確かに自由が与えられた。しかし、この20年間で変わらない問題もたくさんある。自由に声を上げられる今、それぞれが持つ問題を訴えてもらおうと多くの団体を集めた」と話す。
 キリスト教コミュニティー団体のスワル・ブダヤさん(37)は「政治において、少数派宗教はいつまでたっても力が弱い。政治的権力がイスラムに集中する状況は全く変わらない」と訴えた。
 デモ活動を支援する民間団体のスルヤ・アントさん(37)は、98年の5月暴動の時、17歳だった。バタック人の両親を持ち、西ジャワ州バンドン市のキリスト教学校に通っていたスルヤさんは、暴動時に「学校を燃やしてやる」と電話があったという。東ジャワ州スラバヤ市の教会でのテロにも触れ、「20年たった今でも政府は少数派の宗教を守れていない。少数派を守れないのは、宗教に寛容とは言えない」と話した。

■「パプアに自決を」
 集会には、パプア独立を訴えるパプア学生同盟(AMP)所属のパプア島出身者約30人もジャワ島各地から集まり、パプアの自決を訴えた。
 学生同盟の一員で、南ジャカルタに住むドリさん(22)は「パプアの民衆が、パプアの人のために自らのことを民主的に決める権利を求めて参加した」と話す。ドリさんは、「レフォルマシ後も貧困や搾取など状況は改善していない」と説明。「現在は中央政府がメディアをパプアに入れようとしないが、メディアが来れば問題解決につながる」と訴える。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領については「3度もパプアに来た上、土地や人権問題に関して解決を約束したが、根本的な変化はまだなく、(こうしたアクションは)イメージアップに過ぎない」と批判した。
 パプア・西パプア両州はインドネシア独立から16年後の1961年にオランダが独立を承認したが、スカルノ政権がこれに反発、オランダとの武力衝突に至った。69年に国軍の管轄下で帰属を問う住民投票が行われ、インドネシアへの帰属が決まったが、一部はこの結果を拒否し、分離・独立運動を続けている。(上村夏美、坂田優菜)

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