「礼儀正しい」「良い人」 自爆当日も近所で礼拝 スラバヤの実行犯一家

 東ジャワ州スラバヤ市の3教会を狙った13日朝の同時多発自爆テロで、実行犯となった6人家族は2012年から同市ウォノルジョの一軒家で暮らし、犯行当日の朝もいつも通り近所のムショラ(礼拝所)を訪れていた。近隣住民は「礼儀正しい人」「普通の家族」などと印象を語った。
 6人が住む一軒家は閑静な住宅地の一角にある。自宅は門付きの立派な一軒家。13日夜にはこの家からも爆弾が三つ見つかり、近隣住民はあわてて避難したという。14日朝訪れると、オートバイ2台と自転車6台ほどが無造作に置かれ、サンダルなどが散らばったままだった。
 隣組(RT)長のコリハンさん(65)によると、世帯主のR・ディタ・ウプリアルト容疑者(46)は2012年9月に同市ブブタン郡から引っ越してきた。マカダミア油の会社を経営している実業家だと話していたという。以前住んでいた地区では隣組長を務めていたと聞いており、「落ち着いた話し方をする、礼儀正しい人だった」と、突然の事件に驚いた様子を見せた。
 ディタ容疑者と中高生くらいの息子2人は毎日、自宅裏手のムショラに礼拝に訪れており、近所付き合いもあったという。近隣住民は犯行当日の午前4時半ごろも、いつも通り礼拝する3人を見かけている。
 一家はシリアに渡っていたとされるが、コリハンさんが知る限り、ディタ容疑者が長い間ムショラに来なかったのは1年ほど前の1度きり。2週間ほど姿を見せないディタさんを心配して近所の人たちと家を訪ねたところ、病気で休んでいた。
 ディタ容疑者は引っ越してきた時、隣組長に届け出たが、家族の身分証は未届のままだった。近所では「イブ・ディタ」と呼ばれていた妻は月に1度、50人ほどが集まる地域のアリサン(寄合)に参加する「普通の人」。4〜5月は姿を見せなかったという。
 容疑者宅の隣に住む、小学生の娘を持つ40代の主婦によると、容疑者の娘2人は近所の小学校ではなくイスラム系の学校に通っていた。「近所の人が病気になれば見舞いに来るなど、良い人だった」と話し、犯行が信じられない様子だった。

■公営住宅で菓子売り
 シドアルジョ県のルスナワ(公営住宅)のブロックB5階の自室で誤って爆弾を爆発させたアントン・フェルディアントノ容疑者(45)は15年ごろから、ワンルームで一家6人で暮らしていたとみられる。夫婦で菓子を製造し、ワルン(食堂)や売店に販売して生計を立てていたという。近隣住民の話などによれば、10〜17歳くらいの子どもが4人いたが、近所付き合いはあまりなく、あいさつを交わす程度だった。
 隣の部屋に住む中学生のソチア・ウランダリさん(15)も、アントン容疑者の子どもと遊ぶことはなかったという。同じ階に住むブロックBの管理人の女性は「(容疑者は)子どもたちを学校に行かせず自宅で勉強させていたみたい」。アントン容疑者についてブロックBの住民たちは「あまりコミュニケーションを取らなかった」と口をそろえた。
 実業家で一軒家に住み、近所付き合いのあったディタ容疑者と、菓子を売りながら公営住宅に暮らし、おとなしかったアントン容疑者。対照的な人物像の2人だが、国家警察は2人が「近い友人」で16年には共にテロ犯に面会していたことを明らかにしている。(木村綾、写真も)

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