【おすすめ観光情報】「自撮りサル」もタルシウスも 北スラウェシの自然保護区
西側にウォーレス線、東側にウェーバー線という生物地理学においてとても重要な二つの分布境界線に挟まれた東インドネシアの島々。二つの線の間にある最大の島スラウェシは、今世紀に入ってからも生きた化石シーラカンスが発見されたり、今なお頻繁に新種の動植物が見つかるなど、謎深い手付かずの自然が多く残る島です。今回のおすすめ観光情報はそんなスラウェシ島・北スラウェシ州のタンココ・バトゥアングス自然保護区を紹介します。
総面積87平方キロメートル。その一部が観光客も入ることが許された観察コースになっています。現在、知られているだけで130種類近くの哺乳類、100種類以上のは虫類や両生類、200種類以上の鳥類が生息、保護されているのだそうです。その代表であり、この自然保護区の顔となっているのが固有種のスラウェシ・クレスティド・マカクです。日本ではスラウェシ・クロサルとも呼ばれ、数年前、真っ黒な顔に人間のような豊かな表情を見せた「自撮りサル」で一躍世界的に有名になったあのサル、記憶にある方もいるのでは。
スラウェシ・クレスティド・マカクに会うためのトレッキングは早朝です。森の夜が明け、朝の柔らかい光が差し込むころ、眠りから覚めた群も新しい1日を迎えます。真っ先に出会ったのは「ここがワシの定位置じゃ」と言わんばかりの貫禄で座っていたオスザル。この群れのボスなのかもしれません。他の仲間たちはまだ木の上のようです。徐々にキーキーという鳴き声や枝が揺れる音が増え、辺りが騒がしくなり群れが動き出しました。次々と木の枝を伝って地上に降りてくるサルたち。大迫力です。しかし、全身真っ黒ということでゴリラのようなイカツイ感じを想像していたのですが、実際はずっと小柄で顔つきも愛らしい。凶暴でもなく人見知りするでもなく、私たち人間がアパートや学校にいるのと同じように、普通にただ森の中で暮らしているだけといった様子で人間にはお構いなしです。
日本ではメガネザルと呼ばれるタルシウスも生息しています。大人でも体長15センチほどの小さな体にビー玉のような大きな目。ネズミのような長いしっぽ、必死に木の枝につかまっている様子は遠目からだとミニチュアに変身したコアラにも見えます。地元ガイドさんによると、通常出産の時期は7月か8月とのことなのですが、4月中旬に訪れたちょうどこの日に赤ちゃんが誕生していました。「昨日はいなかったのに!」とガイドさんも大興奮。体長15センチ程のタルシウスのママの腕に包まれた5センチほどの小さな小さな赤ちゃんタルシウスを幸運にも見ることができました。
その他にも、おなかのあたりの皮を広げて飛ぶことができるトビトカゲ、有袋類のベアクスクスなど、日本やインドネシアの他のエリアでも野生ではなかなか見られない動物も生息しています。
タンココ・バトゥアングス自然保護区へのジャカルタからの道は北スラウェシ州の州都マナドまで直行便利用で約3時間20分、マナドからは車で約2時間です。道路は非常に整備されていて快適ですので1泊2日でも十分楽しめます。(産経海外ファミリークラブジャカルタ、水柿その子、写真も)
◇ 北スラウェシ州・タンココ・バトゥアングス自然保護区と自然大満喫ツアー
産経海外ファミリークラブジャカルタ
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