深夜の移動、4時間半 MRT車両基地に到着
4日に日本から北ジャカルタ区タンジュンプリオク港に到着した大量高速鉄道(MRT)の車両3両が7日夜から翌8日未明にかけ、南ジャカルタ区ルバックブルスのデポ(車両基地)に輸送された。深夜の高速道路をゆっくりと進み、4時間20分かけて無事到着した。第1陣目の先端車両の移動を追った。
7日午後10時半、タンジュンプリオク港101埠頭(ふとう)の荷さばき地。MRT車両を乗せたトレーラーは長さ約28メートル。先頭に誘導する警察、間には関係者の車が連なり、ゆっくりと走り出した。
17分後、同港第1ゲートからMRT車両が姿を現した。港の西約5キロ先の西アンチョール高速道路料金所を目指す。アンチョール公園を右手に見ながら、料金所に着いたのは出発から約1時間後の午後11時26分。高速道に入った直後、トレーラー上部すれすれのところに道路標識が現れる。いったん停車し、車両が当たらないよう慎重に誘導していった。
深夜だが、スカルノハッタ空港(バンテン州タンゲラン市)方面の高速道は交通量も多い。車の流れに乗るように、時速40キロほどで進んでいく。
午前0時35分、空港入り口から約8キロ手前にあるカマル第1料金所を通過。ここから進路を西から南へ変え、ジャカルタ外環道路(JORR)を南下していく。
料金所では、ゲートから出てくる車両の姿を収めようと報道陣がカメラを抱えて待機していた。暗闇の中、ランプの明かりを浴び、丸みを帯びたMRTの先頭車両が浮かび上がる。通り過ぎるのはあっという間で、カメラマンたちは急いで車に乗り込み、次の料金所を目指す。
車両輸送を見ようと駆けつけた鉄道ライターのセンディ・プラストヤさん(30)は、「ついにインドネシア初のMRT車両がやって来た。歴史的場面を取材できて感動している」と興奮気味に話した。
外環道をさらに南下し、西ジャカルタ区ムルヤ・ウタマ第1料金所を午前1時30分に通過。ここで出発から約3時間が経過し、走行距離は27キロになった。
いよいよ西ジャカルタから南ジャカルタへ。南ジャカルタ区ポンドック・ピナンの出口19番を午前2時すぎに通過し、一般道に入る。ポンドック・インダ地区の南端を通り、2月に開通したばかりのカルティニ立体交差に差し掛かる。
ルバックブルスの車両基地はもう目の前。だが最後の難関が待ち構えていた。立体交差の上を通る外環道の高架下の高さは6メートルほど。「トゥルース、トゥルース(オーライ、オーライ)」。作業員たちが一斉に駆け寄り、声を掛け合いながら先導していった。
高架下を抜け、車両基地の東隣にあるモールのポインズ・スクエアの裏道をゆっくりと進み、午前2時50分、車両基地に到着。総距離44.5キロの移動が終了した。
この後、先頭車両に続いていた中間車両2両が到着。州営MRTジャカルタ(MRTJ)によると、車両は4日のタンジュンプリオク港到着以降、中間車両8両を降ろし、先端車両4両の荷揚げは上部に積んでいた他の貨物の関係で遅れていた。8日夜から9日未明にかけてさらに3両を運ぶ予定。(上村夏美、写真も)