新しいイ日関係へ 今こそ「再出発の時期」 タンAPIJ代表理事
日本・インドネシア関係をこれからどうする――。4日に設立記念懇親会を開き日本社会にデビューした在日インドネシア経営者協会(APIJ)のタン・ウイ・シアン初代代表理事(56)。「新イ日関係に動く時期が到来した」として、両国の現状を踏まえた新しい相互補完による協力関係の構築を目指す考えを示した。
――APIJ設立の目的は。
タンAPIJ代表理事 第1に両国の経済的、人的交流の促進をインドネシア側からも働きかけていくこと。2番目はインドネシアに関する情報提供や広報・啓もう活動をインドネシア民間の立場から促進。三つめは両国の経済成長に寄与しうる国際感覚を持ったビジネス経営者の育成だ。最後にこれまでまとまっていなかった在日インドネシアビジネス関係者の交流を深め、会員相互の相乗効果を発揮することだ。
――国交樹立60周年記念に向けての行動は。
APIJは国交60周年に発足したという意味で恵まれている。多くの60周年記念イベントに参加することができる。7月28、29両日に東京の日比谷公園で開かれるインドネシア・フェスティバルへの参加はその一例だ。また4月20日の国交60周年シンポジウムは共催者の一員として参加する。そのほか、貿易、研修、料理、観光などそれぞれの部門がイベントや各種行事への参加を考えている。
――日本とインドネシア関係をこれからどうする。
私が日本に着任して22年になる。この間の日本の変化は激しい。1996年、日本市場に輸入品はごく少なく、消費者は私が扱っている製品分野も含め、国産品を使っていた。20年後の現在、日本市場は遥かにオープンになっている。
日本は国内市場がますます小さくなっている。その結果、日本企業は世界市場に目を向けて動きだしている。そんな経済環境の中で、人口は減り、高齢者が増えている日本と、人口が多く平均年齢も30歳以下のインドネシアとはさまざまな協力関係を構築できるのではないか。私はインドネシアと日本が将来に向けてより強い協力関係を築かない理由はないと思っている。60周年は両国関係を見直し、双方がともに発展する可能性を検討する最も適切なタイミングだと思う。両国関係を「再出発させる」時期だと考えている。
――日本におけるインドネシア人社会について。
日本のインドネシア人数は増え続け、公式統計でも学生や研修生らで4万6千人に達した。インドネシアからの観光客は2017年で35万人へと急増しており、在日インドネシア人は増え続けると思う。両国民が互いを知り合う機会が増え、あらゆる部門で両国の交流や協力関係が広がると期待している。
――APIJは日本側にどのような注文を。
私たちの課題はまずAPIJの活動の質を高め、日本側とコミュニケーションを深めることだと思う。APIJの力が届かないものの、APIJに影響を与える問題、例えば経済連携協定 (EPA)について、APIJに好ましい環境を形成していただけるよう期待している。(小牧利寿、写真も)