現代イスラムを考える 東京外大アジア・アフリカ研 講演会に100人
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所は17日、南ジャカルタの国際交流基金ジャカルタ日本文化センターで講演会「現代インドネシアのイスラームを知る」を開いた。在留邦人ら約100人が訪れた。
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の見市建准教授が「イスラームと政治」というテーマで講演した。
インドネシアのイスラムについて、中東と比較して「穏健」と捉える向きがあるが、一概にそうとは言えない面があると説明した。
インドネシアのイスラムの伝統主義や近代主義といった思想を紹介し、「それらを土台に宗教運動が社会の中で組織化している」と強調した。
また、2016年に起きたアホック元ジャカルタ特別州知事による宗教冒とくとされた発言をめぐる抗議デモを振り返った。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領政権の下で排除された、大衆組織やイスラム急進派の不満のうっ積や都市化の進展による格差の拡大、野党勢力の結集、政権内の分裂などがデモが大きくなった要因として挙げられた。また、「(主催側にとって)デモや政治運動ではなく宗教活動として一般ムスリムに対してアピールできたことが効果的だった」と話した。
ジョコウィ政権はデモ主催者に対して強権を発動し、法の力で抑え込んでいるという。「19年の大統領選に向けてのイスラム対策について楽観視している」と現状を分析した。
島根県立大学短期大学部の塩谷もも准教授は「儀礼と料理にみるジャワの人々のつながり」というテーマで、女性の営みに焦点を当てて話した。
ジャワのイスラムについて「ヒンドゥーや仏教、アニミズムとの混じり合い」で現在にいたると解説した。また、人々が行事などで儀礼として贈る箱詰めの料理について「贈るという行為や一緒に作ることを重視している」と話した。(平野慧、写真も)