事業の具現化を模索 スマートコミュニティー NEDO、14企業など来イ
IT技術や環境技術を取り入れて地域全体でエネルギーの効率的な利用を図るスマートコミュニティーの事業に関心がある企業が参加しているスマートコミュニティ・アライランス(JSCA)のインドネシア視察団が十三、十四日の日程でインドネシアを訪れ、ビジネス展開の可能性を模索している。ピーク時の電力供給量削減になるため、依然として電力不足が解決されていないインドネシアでも政府がスマートコミュニティーに注目。九月にも住友商事などの日本企業五社が、政府と協力してジャカルタ近郊の工業団地で同事業の実証試験を開始する予定で、実現に期待が高まっている。
■ 再生可能エネも活用
スマートコミュニティーの試験は、独立行政法人・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が企業に委託。インドネシア側の合意を得た上で実施される。試験地は西ジャワ州カラワン県のスルヤチプタ工業団地。
試験では、電力の供給量に合わせて入居工場側の需要の制御(デマンドサイドコントロール)を行うITシステムを導入したり、電力使用のピーク時間をずらすことでインセンティブを与える契約を工場と国営電力会社PLNが結ぶことを促したり、停電の際の復旧を早めるために配電の自動化を進めたりして、効果を確認する。インドネシアで将来、再生可能エネルギーが本格的に導入されることを見据え、小規模ながらもソーラーパネルも設置。PLNの電力と太陽光発電との効率的な供給方法などについても探る。
住商などは二〇一〇年八月からNEDOの委託を受け、エネルギー鉱物資源省などと協力し、同工業団地でスマートコミュニティー事業の可能性を探るために電力使用量などの基本的なデータを集める調査を開始。昨年十月からは実証試験の計画書の作成をかねた実現可能調査を行っており、四月までに報告書をまとめてエネルギー鉱物資源省に提出し、九月ごろから一年半―二年間ほどかけ実証試験が行われる見込み。
NEDOは試験を通じ、インドネシアで事業展開を狙う日本企業を支援。日本企業がノウハウを蓄積し、将来的に工業団地などでの事業展開を行うことを狙う。試験に使う機材の資金はNEDOが負担。事業規模は未定だが、すでにNEDOが欧州などで行っている同様の実証試験では三十億―五十億円が拠出されているという。
■ 日本での取り組み紹介
視察団を派遣したJSCAは、NEDOが事務局を務め、電力、ガス関連企業、商社、情報通信業、電気機器メーカー、コンサルタント、建設業など幅広い業種の企業が参画。官民一体となって国内外での事業推進に取り組んでいる。これまでに米国、欧州、マレーシア、ベトナムにも視察団を派遣してきた。今回の視察団には経済産業省、NEDO、国際協力機構(JICA)、北九州市、企業十四社が参加した。
十三日には、中央ジャカルタのホテル・プルマン・ジャカルタでスマートコミュニティー推進のワークショップが開かれ、インドネシア側から経済担当調整相事務所、エネルギー鉱物資源省、PLN、ジャカルタ近郊の自治体の職員らが出席。日本の効率的な電力供給網の普及などを狙って経産省が行っている「次世代エネルギー・社会システム実証」の実施地に選ばれるなどスマートコミュニティーで高い評価を受ける北九州市の職員が、同市で行っている効率的な電力供給システムなどを紹介した。
視察団は十四日にはバンテン州タンゲランのブミ・スルポン・ダマイ(BSD)やバンテン州タンゲラン県ビンタロの商業施設・開発地域、西ジャワ州ブカシ県の複合開発地域「デルタマス」やジャバベカ工業団地などを視察する。