【火焔樹】 あいうえおとラリルレロ
アジア諸国のTOEICなどの英語の成績をみると、日本は最下位の座を北朝鮮と長きに渡り争っているようだ。多くの日本人が海外へ行くようになった今日でも、英語のみならず外国語は日本人にとっては苦手以外の何物でもないようである。
その理由はと問うと、鎖国時代の影響と古い話を持ち出す人もいれば、日本の英語教育のあり方を槍玉に挙げる人もいて様々である。私が思うに一つの大きな理由として、日本語の発音がすべて母音で構成されていることが影響していると考える。アイウエオ。すべての言葉はこの五つの音のみで構成され、これ以外の音への反応は鈍く発音は困難なようだ。例えば、「desk(デスク)」。「s」と「k」 を「ス(su)と「ク(ku)」でしか表すことができない。この時点で本来はもう間違いなのだ。子音を正確に表す文字はない。つまり、日本語では外国語を文字で正確に表すことは不可能。英単語にルビをふることがそもそも間違っていることに気付いている学校の英語の先生はどれくらいいるだろうか。
そしてもう一つ、「L」と「R」を区別できない。九九%の日本人は「London」を「Rondon」と発音する。日本で教わる「ラリルレロ」は「RARIRURERO」であり「LALILULELO」ではないのである。
きちんと発音できなければきちんと聞き取ることもできない。その逆もしかり。これらは、外国語を使うにあたり致命的な弱点である。
インドネシアではアルファベットが使われていることやインドネシア語とはまったく異なる方言を日常的に使う人も多いため、言葉には敏感で音の違いを瞬時に聞き分け、英語に限らず外国語への対応能力は日本人よりも格段に優れている。
多くの日本人が外国に行き、現地化を唱え、長くその国にとどまる人も増えている。きちんとその国の言葉で日本を、仕事を、思想を、そして自らの夢を語ることができるようになることが、それぞれの舞台で成功する鍵の一つであることは間違いない。(会社役員・芦田洸)