昨年貿易黒字118億ドル 統計局発表 前年比24%増

 中央統計局(BPS)は15日、2017年の貿易収支が118億4千万ドルの黒字だったと発表した。16年は95億3千万ドルの黒字で、17年は対前年比24%増となる。
 貿易黒字は3年連続。内訳は輸出額が前年比16・2%増の1687億3千万ドルで、輸入額は前年比15・7%増の1568億9千万ドル。
 相手国別では、米国やオランダ、インドとの取引で黒字が記録された一方、中国やタイ、オーストラリアなどに対しては輸入超過だった。
 17年は石炭や銅などの価格が上昇する一方で、石油などの輸入産品の価格が低め基調で推移し、前年比2桁成長につながった。
 ただ、国際エネルギー機関(IEA)は、世界の石炭需要について22年までほぼ横ばいで推移するとの見通しを示している。石炭以外の一次産品の価格もこれ以上の大きな伸びは期待しづらい。一方で、石油価格が若干上向く兆しが出てきているという不安要素がある。
 足下の12月も原材料と資本財などの購入により輸入が増加した一方で、自動車部品や植物油の輸出などが減速。2億7千万ドルの貿易赤字を出しており、18年の展望も楽観できない。
 成長を続ける世界経済の中で、中国をはじめとする国々との貿易が引き続き高い水準で動くと思われるが、輸入もインフラ投資の維持、拡大などで増加する可能性がある。

■経常収支赤字抑制に貢献

 シンガポールやマレーシア、タイと異なり、フィリピンと並び内需が経済をけん引するインドネシアでも、経常収支と財政収支の「双子の赤字」を軽減する意味で輸出の好調は大きなプラス要因だ。
 インフラ投資を進める上で、債券を発行し資金を調達する傾向が強くなっているが、赤字は増える。中央銀行も18年の経常収支赤字を前年より高い国内総生産(GDP)比2〜2・5%で推移すると予想している。経常収支赤字が膨らむと、通貨がリスク資産として売られる懸念がある。17年は貿易収支と証券投資が経常収支全体の赤字を縮小した。
 財政収支については17年の財政赤字は修正予算の想定2・92%を下回る2・46%に収まった。ことしもスリ・ムルヤニ財務相の下で、歳出抑制路線を続けるが慢性的なインフラ向け予算不足は続く。
 個人消費に力強い伸びが期待できない現状で、輸出にかかる期待は大きい。中長期的に見て、貿易収支安定のためには中国や米国、日本への輸出について原材料に依存するのではなく、最終製品や消費財の比重を高めていく必要がある。(平野慧)

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