あす、東日本大震災から1年 各地で追悼式典 コンサートや写真・絵画展
未曾有の大災害となった東日本大震災から十一日で一年を迎えるのを前に、震災直後から全国で支援活動が行われてきたインドネシアでは、十、十一日の両日、各地で追悼式典や復興イベントが開かれる。コンサートや写真展などを通じて、ともに自然災害多発国である両国の市民が、犠牲者に追悼の意を捧げるとともに、被害の甚大さや復興に向けた苦労などの認識を共有し、この一年で再確認した絆をさらに深めようという取り組みだ。
■ スナヤンで写真展
朝日新聞社と三菱商事は十日(土)から、中央ジャカルタのプラザ・スナヤンの一階アトリウムで、東日本大震災の報道写真展を共催する。
写真展は、タイ・バンコク、韓国・ソウルを巡回して行われているもので、震災直後から、徐々に日常生活を取り戻そうと苦闘する人々の姿まで、日本が力強く復興に取り組む様子を写真を通じて紹介する。
会期は、十日(土)―十八日(日)の午前十時―午後十時(十日は午後零時半から入場可)。
■ バリでも絵画展など
バリ島では、さまざまなイベントが開かれる予定だ。
ウブドのプリ・ルキサン美術館では十一日(日)から二十五日(日)まで、非営利団体(NPO)「ワールド・キッズ・ミュージアム」が主催し、東日本大震災の被災地やバリ島などの子どもたちの絵を展示する「海を越えて支え合う子ども達展―We Are All One」が開催される。
同NPOはバリの子どもたちが描く「エネルギーにあふれている絵」(永田弘道代表)を広く知ってもらいたいとする「バリ世界子ども美術館プロジェクト」などを行ってきた。
「バリの子どもたちの絵は被災した東北の子どもたちを元気づけられるのではないか」との思いから今回、バリや東北各地、NPO「子供地球基金」から提供された世界各地の子どもたちの絵を紹介する展示会を千葉県富津市金谷や、東京都港区青山、同青梅市で開催してきた。バリでの展示会が最終展示となる。
十一日午前九時半からは、ウブドの日本語を学ぶ高校生が司会を務めるなど子どもたちを中心としたオープニング式典を開催する。
同日、バリでは、在留邦人有志による追悼コンサートが開かれるほか、犠牲者への追悼とともに、原発の廃炉を呼び掛けようと、日本や世界各地で計画されている「ヒューマンエラー・パレード」がウブドのカフェ・アンカサで行われる。
ありがとうインドネシア メダン総領事館が式典
在メダン日本総領事館は八日、同市内のダナウ・トバホテルで、追悼・復興式典「ありがとうインドネシア(Terima Kasih Indonesia)」を開催。東日本大震災で亡くなった人々を追悼し、インドネシアの支援に感謝の気持ち、復興の状況を伝えた。
あの日から一年、「体で感じ、体で学び、体で立ち上がった」――被災地に送られた言葉が展示される会場。インドネシア語、日本語の詩が会場に響いた。「がんばってください」「復興を願っています」。詩は、メダン市内にある国立第一高校教師のハイラさん、領事館職員のウィマルヤさんが復興への希望を込めて作った。
式典には、メダン市関係者のほか、励ましの言葉を送ったり、募金活動をしたりした地元小中高大学の児童、生徒、学生をはじめとする支援者ら約三百人が出席。出席者らは津波に襲われた漁村、少しずつ復興する町など被災地の様子を収めた映像を鑑賞し、亡くなった人々に黙とうを捧げた。また発生直後に震災地を訪れたメダン市在住の弁護士、ザキールさんが当時の体験を紹介。東北大に通う息子を持つザキールさんは、生活物資が届かない緊迫した状況を報告、出席者らは静かに耳を傾けた。
濱田雄二総領事は、いち早く支援を開始したインドネシア政府、国民に謝意を伝え、「復興は進んでおり、安心して留学や観光で来てほしい」と呼び掛けた。メダン日本人会の成田克美理事は、インドネシアを「まさかの時の友こそ、真の友」と表した。