「香料諸島」の紀行本出版 元イ駐在の銀行マン 定年後に旅続け 「原産地で香りを」

 かつてヨーロッパの航海者たちが命をかけて目指したインドネシア北東部の香料諸島にあこがれた元インドネシア駐在の銀行マンが定年後に香料諸島を旅し、紀行本を自費出版した。大航海時代に興味を引かれ、丁子とナツメグの原産地で香りを嗅ぎたいという思いから、かつての同僚とマルク州の島々を巡った。
 本は「歴史紀行 インドネシア香料諸島」(B5版、123ページ)。神戸市に住む宮崎衛夫さん(74)が執筆した。宮崎さんは1965年、大阪外大インドネシア語科を卒業後、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。89年にインドネシアに赴任し、初代のインドネシア三和銀行社長に就任、約3年間滞在した。
 駐在時代も香料諸島に興味を持ち、マルク州アンボン市には行ったことがあったが、歴史を深く調べる余裕はなかった。
 現役時代は出張も多く、アジアを中心に40カ国を訪ねた。退職後、歴史に興味を持ち、大航海時代のことを知るにつれ、香料諸島への関心が強まっていったという。
 2016年8月から9月にかけ、三和銀行時代の同僚3人とマルク州のアンボン島、北マルク州テルナテ、ティドレ両島を旅した。本には訪問記のほか、大航海時代の歴史についても詳しく解説している。
 宮崎さんはことし10月、前回行くことができなかったバンダ諸島を旅した。いずれ、紀行にまとめる予定という。宮崎さんは、「子どもの頃、高知の海の近くで育ち、もともと海の向こうへのあこがれがあった。今回、バンダ諸島も行くことができた。香料諸島では予想以上に往時をしのばせてくれる要塞跡などが残っていた。往時の人々と同じ風を感じる旅となった」と話している。
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 「歴史紀行 インドネシア香料諸島」を元に、「香料諸島の旅(仮題)」を1月6日(土)から月2回のペースで連載します。

 みやざき・もりお
 大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒、三和銀行入行。天満支店、香港支店などを経て国内支店長、インドネシア三和銀行社長。帰国後、三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)国際本部長などを務めたほか、大阪外国語大学客員教授、大阪大学非常勤講師、星城大学非常勤講師などを歴任。高知県出身。

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