「笑顔を取り戻して」 イ野球代表野中総監督 アグン山避難所を訪問
インドネシア野球代表の野中寿人総監督とバリ島の野球チーム、レッドソックスのメンバー14人が24日、島東部アグン山の噴火に伴い設置された島南東部クルンクン県のスウェチャ・スポーツ施設の避難所を訪れ、子どもたちにゴムボール一つでできる「野球ごっこ」を紹介した。避難所に約500人いる子どもたちのうち、約60人が参加、笑顔があふれた。2001年から同島在住の野中総監督は「年明けも可能な限り継続して訪問したい」と語った。
同避難所はジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領も訪問した最大規模の避難所で、1500〜2千人が避難生活を送っている。避難期間は数週間〜数カ月で、帰宅のめどはまだ立っていないという。
野中総監督らの訪問は「先の見えない生活と状況の中で、いっときでも笑顔を取り戻してもらいたい」との思いから。コメや油、洗剤、シャンプーなども寄付した。
野球ごっこは、子どもたちに野球に親しんでもらうための試みで、この時はゴムボールとプラスチック製のバットを使った。11月10〜15日にジョクジャカルタ特別州で実施した、日本のストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」を展開するフュービック(本社・東京都新宿区)との野球・ストレッチ教室「野球キャラバン」から取り入れた。
避難所訪問時に使用した用具類は、バリ島で同月下旬に開かれた第2回日イ友好親善野球大会に参加した東都大学準硬式野球連盟から寄付された。
同連盟首脳陣と選抜選手40人の計51人は同大会終了後の27日、デンパサール市内で野球キャラバンに参加。翌28日、同市近郊のングラライ空港から日本へ帰国する予定だった。しかし、アグン山噴火で前日の27日から空港が閉鎖されたため、12月2日まで足止めされた。
延泊を余儀なくされた選手らは「野球を指導するためにバリ島に来た。延泊を利用して、もう1度、野球キャラバンをやらせてください」と子どもたちへの追加指導を志願。野中総監督らが急きょ、近隣中学校に話をつなぎ、野球キャラバンを再度開いた。(中島昭浩)