地熱発電所の掘削開始 世界最大規模の200MW スマトラのムアララボ鉱区
西スマトラ州ソ県ムアララボ鉱区で、世界最大級の地熱発電建設が始動する。来年中の地熱発電所の建設開始、2016年内の完工を目指す。発電容量は220メガワット(MW)。
蒸気の質・量の調査を進めながら、今月中にも、蒸気生産井と呼ばれる井戸の掘削を開始する。
同プロジェクトは、住友商事と、地場系民間発電事業開発のシュープリーム・エナジー社、欧州系大手民間発電事業開発のインターナショナル・パワー―GDFスエズ社が参画。3月には、国営電力PLNと30年間にわたる長期売電契約を結んだ。
3社は、スマトラ島のラジャバサ鉱区でも220MW規模の地熱プロジェクトを進めており、来年半ばの掘削開始、14年内の着工、16年内の完工を目指している。
地熱発電は再生可能エネルギーの中でも比較的大規模かつ高い稼働率で発電が可能で、化石燃料を使用しないため環境への負荷が低く、世界で注目を集めている。
中でもインドネシアは、全世界の20―40%とも推定される約2万9千MWの地熱資源量を有しており、「世界でも1、2を争う極めて有望な市場」(住友商事広報)とされている。急増する電力需要の担い手としても、地熱発電の開発に期待がかかっている。
エネルギー鉱物資源省地熱局のティスナルディ局長は、「石油、ガス、石炭などの資源が減少してきていることを考えると、地熱プロジェクトは不可欠だ。このプロジェクトは歴史的なランドマークになるだろう」と期待を込めた。先月には、西スマトラ州のイルワン・プライトノ知事らが同鉱区を視察した。
インドネシアの地熱源利用率は約4%にとどまっているのが現状で、インドネシア政府は、第2次1万MW発電所建設計画(クラッシュ・プログラム)を制定するなど、地熱発電開発を促進する法令整備を進めている。政府は、2014年をめどに約4千MWの地熱発電所を新たに開発する計画。
住友商事は、世界では、2千MW超、インドネシアでは600MW以上の地熱発電設備を納入した実績を生かし、プロジェクトを進める。
資金面では、国際協力銀行(JBIC)の協力を受け、蒸気タービン・発電機に関しては、日本メーカーから調達する計画で、住友商事は「日本企業の力を結集したプロジェクトになる」としている。