インフラ事業80億円 政府系金融に融資 JICA 初のルピア建て
国際協力機構(JICA)は11日、インフラ事業を手がける政府系金融会社「インドネシア・インフラストラクチャー・ファイナンス(IIF)」との間で、上限80億円(最長期限5年間)の貸付契約を締結した。
IIFは開発への民間セクターの参画を目的に2010年に設立、アジア開発銀行(ADB)や三井住友銀行が出資している。プロジェクトファイナンス(事業から得る収益のみを担保にする)で運営しているインドネシア唯一の公的機関だ。
今回の契約を土台にしてIIFが展開する主な事業は小水力発電。約20億〜100億円規模の事業が多いという。JICAは資金需要に応じて、ルピア建ての融資が必要な場合は円をルピアにスワップして貸し出す。JICA民間連携事業部の廿枝幹雄審議役は「通貨のミスマッチをなくす。ルピアで借りて、ルピアで返済できることでプロジェクトが為替リスクにさらされることがない」と意義を話す。JICAがルピア建てで融資するのは初めて。
小水力発電では10メガワット前後の発電設備でも高い技術力が必要になる。廿枝氏は「これまで地場企業がやってきた小水力発電に日本の技術を活用してもらいたい。低利で長期なローンを組むことで、参加してもらいやすくする」と語る。
JICAは融資とともに、日本企業と地場企業とのマッチングや技術協力を行い、融資している事業を効果的に進めるための技術的な支援を行う。
IIFは石油やガスのパイプラインや港湾、高速道路事業なども案件として検討している。今回の契約には民間資金をインフラ開発に活用するPPP(官民連携)促進を支援する意味もある。(平野慧、写真も)