CFBボイラー事業強化へ 住友重機械工業 バイオマス発電に活用
住友重機械工業は循環流動層(CFB)ボイラー事業に注力する。中央ジャカルタで5日に開催したセミナーには、エネルギー鉱物資源省や国営電力PLN、商社幹部ら130人が参加し、再生可能エネルギー発電設備に使えるボイラーに高い関心を示した。
産炭国であるインドネシアでは、高品位の石炭は日本や韓国に輸出される重要な産品だ。財政上、石炭埋蔵の過半である低品位の石炭を直接燃焼させて発電できるCFBボイラーのニーズは高い。
CFBボイラーはバイオマス、廃タイヤ、廃プラスチックなどの非化石燃料を利用することも可能だ。複数の燃料を使ってもプラント制御技術で安定的に供給できる点や、高い燃焼効率も長所だ。
近年では住友商事が受注した、国営鉱山アネカ・タンバン(アンタム)社の3万キロワットの石炭火力発電設備2基に納入している。南カリマンタンのタンジュン地区では現代エンジニアリング社(韓国)から事業を請け負っている。大統領選挙を控えた2018年は実績作りのために発電所案件が増える可能性もある。
住友重機械工業は、ことし6月、再生可能エネルギー発電設備を展開するオランダのFWエナジーの株式を取得、住友SHI・FWを発足させた。同社のCFBボイラーの技術およびノウハウを生かし、新興国の電力インフラの整備や再生可能エネルギー発電設備の普及などに力を入れる。
政府の環境規制強化が予想される点などを考えると商機はある。日本国内でも電力小売自由化の風潮の中で、バイオマス発電に使用されている。
住友重機械工業の現地法人住友ヘビーインダストリーズ(SHI)の石井勝社長は「FWがフィンランドで製造するボイラーのインドネシア展開をサポートしていく」と話す。インドネシアでのセミナーはことし初めて。今後は毎年1回のペースで開催していきたい考えだ。(平野慧、写真も)