【広瀬先生の子育て相談(154)】 褒めて少しずつ
◇おたずねします
6歳の男子、父親が家事や育児をしてくれません。どうしたらよいでしょうか?
◇小児神経専門医 広瀬宏之氏
家事や育児を父親がしてくれるようになったのは、比較的最近のことです。育児を積極的に行う父親を意味する〈イクメン〉という言葉も最近のものです。
昔ながらの家庭で育った父親は、自分の父親が育児や家事をしないのを見て育っていますから、自分からはそうしないかもしれません。家事や育児は母親の仕事という固定観念を微塵も疑っていない父親もいるでしょう。仕事でくたくたで、家では気ままに過ごしたいという、母親からみれば「わがまま!」と言いたくなるようなお父さんもいるかもしれません。
男性は上から目線の物言いに強く拒否反応を示す生き物です。特に女性からのはそうです。「家事も育児も手伝って当然!」と思っていても、それを言葉や態度に表してはいけません。そうした途端、「俺だって仕事で疲れているんだ」という決まり文句が出て、夫婦喧嘩になってしまうでしょう。
ですので「手伝ってくれると助かるんだけどなあ」と、下から穏やかにお願いしてみましょう。その時、実際にやってくれそうなことから頼みます。父親にいきなり丸一日預けるというのは負担でしょうし、二度と手伝ってくれなくなりますから、ちょっとだけ相手をしてもらうのです。
そして、大事なことは、全然助けになってくれなかったとしても、こころからの感謝を伝えることです。ここでも「そんなのしてくれて当たり前!」と思わないことです。ヨイショしてその気にさせるのです。男は褒められることに弱い、そこを上手についていくのです。そして、少しずつ、頼む量を増やしていけばいいのです。
これを読まれているお父さんは、おだてられたら、「木に上って」お母さんを満足させてあげましょう。ほんのちょっとの歩み寄りで、夫婦円満になっていきます。お父さんの株も上がるし、家での居心地も良くなると思います。一石二鳥です。
◇質問募集
ゼロ歳から15歳ごろまでの育児の悩みについてお答えします。お子さんの年齢、性別、質問要旨をジャカルタ・カウンセリングの春日原さんのメール(jakarta_counseling@yahoo.co.jp)までご連絡ください。プライバシーを守ります。